イケメン過ぎる後輩くんは、可愛い先輩を甘やかしたい。
 一切引く気がなさそうな依澄くんに覚悟を決めた私は、深呼吸してから目をギュッと閉じた。


「依澄くんが、す、好き……で、す」


 自分でも信じられないくらいたどたどしい言い方になった。 とてもじゃないけど依澄くんの顔なんか見れない。


「…………やっば」


 そう呟いた依澄くんは、手を離してくれない。


「っ、言ったよ依澄くん、離して……っ」

「すいません、嫌です」

「え!?約束が違う……!」

「そうですよね、違いますよね……でもごめんなさい」

 
 依澄くんは私の指に指を絡ませた。

 
「可愛すぎて無理」


 思わず顔をあげると、依澄くんが顔を傾けて近づいた。


「!」


 唇と唇が、触れ合った。

 突然のことに一瞬何が起こったのか分からなくて、静かに唇を離した依澄くんと見つめ合う。

 そして、みるみる色を変えていく私を窺い見て依澄くんは「あーあ」と意地悪に笑った。
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