イケメン過ぎる後輩くんは、可愛い先輩を甘やかしたい。
「だよね!やっぱり二人もそう思うよね!?」

「いや、私は彩美(あやみ)のことすっごく可愛い子だと思ってるよ?」

「うんうん!私も彩美、可愛いと思ってる!」

「あ……ありがとう……っ」

 二人とも優しくて泣けてくる。

「でも、彩美はあたしたちと一緒で、地味めじゃん……?」

「そうそう、赤澤くんみたいな日の当たる場所を堂々と歩けるタイプとは正反対だもんね……?」

「そう!そうなの!世界が違い過ぎるよね…!?」

 
 私・陣内(じんない)彩美(あやみ)は、見ての通りの地味子だ。

 基本眼鏡だし、スカート丈は規則通りだし、重ため黒髪おさげでお化粧なんてしたことない。

 恋愛とは無縁で、漫画や小説から糖分を摂取しながら日陰を探してこそこそ生きていく、そういう人生を歩んでいくものだとばかり思っていた。

 だから、あの赤澤くんに告白されるなんていう豪華イベントが突然発生して、とー……っても困惑している。
 
 
「そもそも赤澤くんって女の子嫌いって話じゃなかった?中学のとき付き合ってた彼女と別れたのきっかけにいっさい女の子と話さなくなったって聞いたけど…」

「それを彩美が覆したってこと?」

「「……」」

 
 二人はもう一度私を見る。

 二人の目にうつってるだろう私は、まつ毛がほぼない、小さな目に小さな鼻と小さな口に困り眉の、すべてが控えめな幸薄顔。

 
「「「……まっさか〜!」」」

 
 三人で笑いながらないない、と手を振る。
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