離婚記念日
ホテルの部屋に戻ると並べられたベッドを見てドキドキしてしまった。
お互いにシャワーを浴びてから夕食を食べに出かけたが、何だか落ち着かない。
どうしよう。

「莉美、そろそろ部屋に戻るか?」

「あ、うん」

手を繋いで部屋に戻った。
どうしたらいいのか悩んでいると、ベッドに座らせられた。

「莉美、いい?」

私の前で膝をつき、視線を合わせてきた太一くんの顔は真剣だった。
私は頷くと両手を頭に添えられ唇を重ねて来た。いつもの違い、さっと離れてしまうようなものではなく、絶え間なく形を確認されるようなキスに息が上がる。口が開いた瞬間には彼の舌が入りこみ、私の歯列をなぞる。探り当てられるように私の舌と絡み合っていく。
思わず私は彼の首に手を回した。するとそのまま抱き上げられ、ベッドにゆっくりと下され、そのまま押し倒された。
彼はTシャツを脱ぎ捨てると上半身裸になった。
思わず凝視してしまうと、それを見た太一くんは笑っていた。
コツっとおでこを合わせてくると「コラ」と言っていた。
だって……気になるんだもん。
でもそんなふうに思っていられるのも今だけだった。あっという間に彼に翻弄され、私の意識は飛んでしまった。
初めてはただ恥ずかしくて、ドキドキして、胸がいっぱいだった。
でも太一くんに求められて、肌を重ね合わせて本当に幸せだった。
太一くんだから私の全部を見せられた。
何度も私の名前を呼ぶ太一くんが愛おしくて、私は必死に彼にしがみついていた。
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