離婚記念日
卒業式は私たちの入籍日になった。
彼の両親は海外にいるそうで、まだ会ったことはない。けれど太一くんからは反対されていないと聞いていた。
結婚式はゆっくり考えようと相談し、入籍と同居をスタートした。
結婚指輪だけは一緒に選んだ。彼は安くてごめんなと言うけれど、値段なんて関係ない。彼とお揃いの指輪を同じ薬指に嵌められるだけで十分だった。
両親は早い結婚に反対気味だったが、太一くんと会うたびに彼に惚れ込んでいった。父は太一くんと呑むのを楽しみにするほどの気に入りようだった。

彼のマンションで一緒に暮らし始め、こんなに幸せでいいのかと不安になる程だった。
私は文具メーカーに就職し、新入社員として忙しい日々を送っていたが太一くんが家事をフォローしてくれた。

「共働きなんだから無理しなくていい。やれる方がやればいいんだ。俺は家事をして欲しくて結婚した訳じゃない」

結婚したら母のように家事をこなさなければ、と空回りする私に太一くんはいつも優しく声をかけてくれる。

「俺は莉美とたくさん一緒にいたくて結婚したんだからな」

でも……という私の口を彼は強引に塞いでしまった。甘いキスに私はいつも反論ができず流されてしまう。
子どもはもう少し私の仕事が落ち着いてから考えよう、と避妊をしていた。
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