離婚記念日
こぼれ落ちた幸せ
結婚をして1年を過ぎた頃、仕事帰りにマンションの入り口で声をかけられた。
「片寄莉美さんでしょうか」
スーツにメガネをかけた、いかにもなビジネススタイル。固められたヘアスタイルはどこか冷たさを感じた。
「ど、どちら様でしょうか」
「私はこういうものです。本日は片寄太一様のご両親のご意向で伺いに来ております」
名刺を受け取ると書かれている名前に驚いた。
【ブリジャールコーポレーション 秘書室長 友永 春樹】
この人が何の用事なのだろう。訝しげに名刺を見つめていると、
「ここでは何ですので、よろしければ近くのお店でお話しさせていただけませんでしょうか。太一様には内密に、とご両親から言いつかっております」
「ご両親が?」
友永さんは頷いた。
「はい。ご両親は莉美さんとの結婚をご存知なかったようです。」
え?
太一くんからは賛成しているが、海外にいるから会えないと聞いていた。
この人が誰なのかよくわからないが、確かにマンションの入り口で話すよりは、人目のあるカフェで話した方が安心かもしれない。
そう思い、私は友永さんの跡をついて行った。
5分くらい歩いたところにあるカフェに入ると、窓際でなく奥の席を指定していた。
「何にされますか?」
友永さんはメニューを開かず、私にメニューを渡してきた。
「カフェラテにします」
そう伝えると店員を呼び、コーヒーとカフェラテを注文した。
「片寄莉美さんでしょうか」
スーツにメガネをかけた、いかにもなビジネススタイル。固められたヘアスタイルはどこか冷たさを感じた。
「ど、どちら様でしょうか」
「私はこういうものです。本日は片寄太一様のご両親のご意向で伺いに来ております」
名刺を受け取ると書かれている名前に驚いた。
【ブリジャールコーポレーション 秘書室長 友永 春樹】
この人が何の用事なのだろう。訝しげに名刺を見つめていると、
「ここでは何ですので、よろしければ近くのお店でお話しさせていただけませんでしょうか。太一様には内密に、とご両親から言いつかっております」
「ご両親が?」
友永さんは頷いた。
「はい。ご両親は莉美さんとの結婚をご存知なかったようです。」
え?
太一くんからは賛成しているが、海外にいるから会えないと聞いていた。
この人が誰なのかよくわからないが、確かにマンションの入り口で話すよりは、人目のあるカフェで話した方が安心かもしれない。
そう思い、私は友永さんの跡をついて行った。
5分くらい歩いたところにあるカフェに入ると、窓際でなく奥の席を指定していた。
「何にされますか?」
友永さんはメニューを開かず、私にメニューを渡してきた。
「カフェラテにします」
そう伝えると店員を呼び、コーヒーとカフェラテを注文した。