離婚記念日
出会い
4月。
大学に入学するとサークルの勧誘をたくさん受けた。
何にしようか悩んでいると、強引に手を引かれ、連れて行かれそうになった。
驚いたのもあるが、あまりの強引さに怖くななってしまう。何も言えないまま、されるままに手を引かれてしまっていると、
「おい、怖がってるぞ」
間に入ってくれた男性が引かれた手を離させてくれた。
注意してくれたおかげで助かった。
「大丈夫?」
私はベンチに座らされると彼の手にしていたサイダーを渡された。
「まだ冷たいよ」
強引に引かれた手が怖かったのだと震える手を見て改めて気がついた。
彼はキャップを開け、私の手にペットボトルを持たせてくれる。
「ごめんな。みんな新入生を入れたくてテンションが上がってるんだ。でもやって良いことと悪いことがあるよな」
そう言うとさっきの人の代わりに頭を下げてくれる。
「だ、大丈夫です」
「最初の大学の印象が悪くなったよな。あいつらだって悪い奴じゃないんだ。ちょっと行き過ぎてはいたが」
「はい」
この人は何も悪くないのに何度も謝ってくれた。
よく見ると、がっしりとした体つきに座っていてもわかる高身長。手にしたスポーツバッグを見る限り何かのスポーツをしているのだろう。
ようやく気持ちが落ち着いてきたところで遠くから声が聞こえてきた。
「莉美ー!」
高校からの友人の麻美だ。
私が手を上げるとこちらに向かって走ってきた。
けれど隣に座っていた男の人に驚いたような表情を浮かべる。
「困ってたところを助けてもらったの」
麻美が何か聞きたさそうな様子だったので先に伝えた。
すると彼は立ち上がり「友達が来たなら安心だ」と笑顔を向けてきた。「まだ始まったばかりだ。楽しんで」とだけ言うと頭にポンと手を乗せられ、そのあと手を振ると去っていってしまった。
「ごめん、なんだか邪魔しちゃった感じ?」
「ううん。本当に助けてもらっただけだよ。強引に手を引かれ勧誘されて困ってたところを止めてくれたの」
「そっか。離れててごめんね」
麻美が悪いわけでもないのに謝ってくれる。さっきの人も麻美も優しい。
大学に入学するとサークルの勧誘をたくさん受けた。
何にしようか悩んでいると、強引に手を引かれ、連れて行かれそうになった。
驚いたのもあるが、あまりの強引さに怖くななってしまう。何も言えないまま、されるままに手を引かれてしまっていると、
「おい、怖がってるぞ」
間に入ってくれた男性が引かれた手を離させてくれた。
注意してくれたおかげで助かった。
「大丈夫?」
私はベンチに座らされると彼の手にしていたサイダーを渡された。
「まだ冷たいよ」
強引に引かれた手が怖かったのだと震える手を見て改めて気がついた。
彼はキャップを開け、私の手にペットボトルを持たせてくれる。
「ごめんな。みんな新入生を入れたくてテンションが上がってるんだ。でもやって良いことと悪いことがあるよな」
そう言うとさっきの人の代わりに頭を下げてくれる。
「だ、大丈夫です」
「最初の大学の印象が悪くなったよな。あいつらだって悪い奴じゃないんだ。ちょっと行き過ぎてはいたが」
「はい」
この人は何も悪くないのに何度も謝ってくれた。
よく見ると、がっしりとした体つきに座っていてもわかる高身長。手にしたスポーツバッグを見る限り何かのスポーツをしているのだろう。
ようやく気持ちが落ち着いてきたところで遠くから声が聞こえてきた。
「莉美ー!」
高校からの友人の麻美だ。
私が手を上げるとこちらに向かって走ってきた。
けれど隣に座っていた男の人に驚いたような表情を浮かべる。
「困ってたところを助けてもらったの」
麻美が何か聞きたさそうな様子だったので先に伝えた。
すると彼は立ち上がり「友達が来たなら安心だ」と笑顔を向けてきた。「まだ始まったばかりだ。楽しんで」とだけ言うと頭にポンと手を乗せられ、そのあと手を振ると去っていってしまった。
「ごめん、なんだか邪魔しちゃった感じ?」
「ううん。本当に助けてもらっただけだよ。強引に手を引かれ勧誘されて困ってたところを止めてくれたの」
「そっか。離れててごめんね」
麻美が悪いわけでもないのに謝ってくれる。さっきの人も麻美も優しい。