離婚記念日
友永さんが私と話してから1週間が過ぎた。
私はネットでブリジャールコーポレーションを調べ始めたが、すぐに検索できてしまうくらいの大きな企業だった。代表は太一くんのお父さんだと思われる片寄雄太郎(ゆうたろう)と書いてあった。写真が載っており、太一くんに目元も眉毛も鼻筋も似ていた。総合商社で海外にも支店があり、社員も何千人といるのが分かった。
友永さんの言った通りだった。
そんな大きな会社の後継者が太一くんなのかと思うと背筋が凍る。
私はどうするべきなのか。
太一くんが大切なのは変わらない。けれどご両親さえ知らなかった私たちの結婚。
祝われてもいない。むしろなぜ結婚したのかと反対されている。離婚さえ望まれている。
このまま結婚生活を続けていいものか分からなくなる。
自分さえ良ければいい、そんな考えでいてはいけないのではないか。
友永さんの話だと太一くんはいずれ今の会社を退職し家業を継ぐ。その時に私がお荷物になってしまうのではないか。
考えれば考えるほど、ネガティブになっていく。
毎日ため息が出るようになってしまった。
でも家に帰り、太一くんと過ごしていると離れたくないと思う自分がいる。そして、肌を重ねるたびに彼が好きだと何度も実感させられる。
太一くんに聞いてみたいと思ったこともあった。でも両親は賛成していると嘘までついていた彼の気持ちがわからない。祝福され、結婚したと思っていたのに離婚を望まれているだなんて考えてもみなかった私はどんどんとマイナス思考になっていった。
そんな時友永さんがまた現れた。
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