離婚記念日
「お疲れさま」
片寄先輩が声をかけてきてくれた。
麻美も私もバタバタ動いていて、ようやく一息つけたとホッとした。
「お疲れさまです」
「ふたりともよく働くね。気が回ってスゴイな」
「いえ。まだまだ勝手がわからなくて」
毎回言われる作業を中心にまだ動いてばかり。でも子供達の声に元気をもらえる気がしてくるのが楽しみになっている話をすると先輩も頷いていた。
その後も月に1回くらいの頻度で会うようになった。気さくな先輩に私も麻美もあっという間に懐いてしまった。
そして彼の入っているラグビーのサークルにマネージャーで来ないか? と勧誘を受け、ふたりでそちらにも入会することになった。
彼を初めて見た時にガッチリとしているとは思っていたが、ラガーマンだとは思いもしなかった。私の中でラガーマンはスクラムを組むようなガッチリとしたイメージだが、彼のポジションのウィングといい、その名の通り翼の部分になる。足が速く、瞬発力が求められるポイントゲッターだ。仲間が繋いできたボールが彼に繋がれ、トライを決めた瞬間私の胸が高鳴った。
今まで身近で見たこともなかったのに、私も麻美もあまりの面白さにトリコになってしまった。
あまり人気がないのかマネージャーは4年生のふたりと私たちだけ。彼女たちは就活や卒論が忙しくサークルになかなか来ない。私たちもバイトや子ども食堂の方もあるので毎回ラグビーの方には顔を出せない。そのため私たちが行くたびにラグビーサークルのメンバーはとても喜んでくれた。
「麻美ちゃんや莉美ちゃんが来てくれて嬉しいよ!」
みんなが口々に言ってくれる。
練習の後に行く食事もみんなの食べっぷりに圧倒されながら、楽しい会話であっという間にみんなと仲良くなった。
麻美はだんだんとナンバーエイトと呼ばれるポジションでチームリーダーのような統率力を持った福田先輩とよく話すようになっていた。ハキハキした麻美に包容力のある福田先輩は傍から見てもピッタリだと思う。麻美がまるで手のひらで転がされているようだった。
私は、と言うとどうしても片寄先輩が気になって仕方ない。どうしても彼を目で追ってしまう。目が合いそうになると恥ずかしくてさっと視線を外してしまうが、またゲームが始まると彼を追ってしまっていた。
練習の後に行く食事も麻美は福田先輩といることが多くなっていった。もちろんふたりだけの世界に浸っているわけではないが、仲の良さは隠せない。チームメイトたちもそれに気がつき、軽く冷やかしている。それを福田先輩はいとも簡単にいなしてしまうのがまたなんとも憎らしい。
ひとりになった私は片寄先輩が気を使い、そばにいてくれることが多くなった。
片寄先輩が声をかけてきてくれた。
麻美も私もバタバタ動いていて、ようやく一息つけたとホッとした。
「お疲れさまです」
「ふたりともよく働くね。気が回ってスゴイな」
「いえ。まだまだ勝手がわからなくて」
毎回言われる作業を中心にまだ動いてばかり。でも子供達の声に元気をもらえる気がしてくるのが楽しみになっている話をすると先輩も頷いていた。
その後も月に1回くらいの頻度で会うようになった。気さくな先輩に私も麻美もあっという間に懐いてしまった。
そして彼の入っているラグビーのサークルにマネージャーで来ないか? と勧誘を受け、ふたりでそちらにも入会することになった。
彼を初めて見た時にガッチリとしているとは思っていたが、ラガーマンだとは思いもしなかった。私の中でラガーマンはスクラムを組むようなガッチリとしたイメージだが、彼のポジションのウィングといい、その名の通り翼の部分になる。足が速く、瞬発力が求められるポイントゲッターだ。仲間が繋いできたボールが彼に繋がれ、トライを決めた瞬間私の胸が高鳴った。
今まで身近で見たこともなかったのに、私も麻美もあまりの面白さにトリコになってしまった。
あまり人気がないのかマネージャーは4年生のふたりと私たちだけ。彼女たちは就活や卒論が忙しくサークルになかなか来ない。私たちもバイトや子ども食堂の方もあるので毎回ラグビーの方には顔を出せない。そのため私たちが行くたびにラグビーサークルのメンバーはとても喜んでくれた。
「麻美ちゃんや莉美ちゃんが来てくれて嬉しいよ!」
みんなが口々に言ってくれる。
練習の後に行く食事もみんなの食べっぷりに圧倒されながら、楽しい会話であっという間にみんなと仲良くなった。
麻美はだんだんとナンバーエイトと呼ばれるポジションでチームリーダーのような統率力を持った福田先輩とよく話すようになっていた。ハキハキした麻美に包容力のある福田先輩は傍から見てもピッタリだと思う。麻美がまるで手のひらで転がされているようだった。
私は、と言うとどうしても片寄先輩が気になって仕方ない。どうしても彼を目で追ってしまう。目が合いそうになると恥ずかしくてさっと視線を外してしまうが、またゲームが始まると彼を追ってしまっていた。
練習の後に行く食事も麻美は福田先輩といることが多くなっていった。もちろんふたりだけの世界に浸っているわけではないが、仲の良さは隠せない。チームメイトたちもそれに気がつき、軽く冷やかしている。それを福田先輩はいとも簡単にいなしてしまうのがまたなんとも憎らしい。
ひとりになった私は片寄先輩が気を使い、そばにいてくれることが多くなった。