離婚記念日
「おはよう」
いつもと同じ6時半に目が覚めると、彼はすでに目を覚ましていた。
「おはよう。調子はどう?」
「すごく良い」
確かに目の下のクマがすっかり消えていた。顔色も良さそうに見える。
「朝はパンでいい?」
私は座布団を部屋の隅へ片付けると髪を一つにまとめた。
「ありがとう」
一緒に暮らしている時、朝はいつもパンだった。ピザトーストとコーヒーを淹れてくると、太一くんはベッドから降り、机の前に座っていた。
相変わらず食べる前にきちんと手を合わせ、いただきますと言う。
家にある材料で作ったピザトーストだが太一くんは喜んでくれた。
「相変わらず美味しいよ」
「良かった。食べたら薬を飲んでね」
私は昨日の薬をテーブルに置き、水を冷蔵庫へ取りに行った。
ちょうど買い置きしていたキウイもあったのでカットし、持って行く。
「ごめんな、気を使わせて」
「ううん。でもあんまり無理しないで。仕事が大変でしょ? 伊豆は遠いし……なんて言うか……」
私が口ごもるとすぐに彼は口を挟んできた。
「何度でも言う。俺はやりたくてやってるんだ。莉美に会いたいから来る。無理じゃない。忙しいとか関係ない。むしろ会った方が調子がよくなる」
朝からまた彼のストレートな言葉に私は翻弄されてしまう。
どうしてこんなに想ってくれるのだろう。
もう私の気持ちも抑えきれなくなっている。でも、昨日両親の話をした時に認めてもらってはいないようだった。またこんなことを繰り返すのは嫌。
でも彼の言葉に否定し続けるのが苦しい。なにより、この気持ちがもどかしい。
私は視線をそらし、何も聞かなかったように話を流した。
私の態度は太一くんにとても失礼だと思う。けれど、自分の心に従うわけにはいかなかった。
彼はそれを分かった上で、これ以上深入りはしてこなかった。
いつもと同じ6時半に目が覚めると、彼はすでに目を覚ましていた。
「おはよう。調子はどう?」
「すごく良い」
確かに目の下のクマがすっかり消えていた。顔色も良さそうに見える。
「朝はパンでいい?」
私は座布団を部屋の隅へ片付けると髪を一つにまとめた。
「ありがとう」
一緒に暮らしている時、朝はいつもパンだった。ピザトーストとコーヒーを淹れてくると、太一くんはベッドから降り、机の前に座っていた。
相変わらず食べる前にきちんと手を合わせ、いただきますと言う。
家にある材料で作ったピザトーストだが太一くんは喜んでくれた。
「相変わらず美味しいよ」
「良かった。食べたら薬を飲んでね」
私は昨日の薬をテーブルに置き、水を冷蔵庫へ取りに行った。
ちょうど買い置きしていたキウイもあったのでカットし、持って行く。
「ごめんな、気を使わせて」
「ううん。でもあんまり無理しないで。仕事が大変でしょ? 伊豆は遠いし……なんて言うか……」
私が口ごもるとすぐに彼は口を挟んできた。
「何度でも言う。俺はやりたくてやってるんだ。莉美に会いたいから来る。無理じゃない。忙しいとか関係ない。むしろ会った方が調子がよくなる」
朝からまた彼のストレートな言葉に私は翻弄されてしまう。
どうしてこんなに想ってくれるのだろう。
もう私の気持ちも抑えきれなくなっている。でも、昨日両親の話をした時に認めてもらってはいないようだった。またこんなことを繰り返すのは嫌。
でも彼の言葉に否定し続けるのが苦しい。なにより、この気持ちがもどかしい。
私は視線をそらし、何も聞かなかったように話を流した。
私の態度は太一くんにとても失礼だと思う。けれど、自分の心に従うわけにはいかなかった。
彼はそれを分かった上で、これ以上深入りはしてこなかった。