深雪くんと運命の恋
* * *
翌日、サークルの部室に向かっている時。
部室の前で南雲先輩らしき後ろ姿が目に入った。
いや、間違いなく南雲先輩だった。
先輩に会えただけで胸がドキンとときめいて、心が温かくなって嬉しくなる。
「南雲先輩……!」
声をかけて駆け寄ろうとしたら、南雲先輩は誰かと話していた。
「霧江……?」
南雲先輩と話していたのは私の親友・霧江だった。
大学に入ってから知り合ったけど、すごく気が合って文芸サークルも同じでとても仲が良い。
霧江は純文学好きで自分で作品を書いている。
霧江の書く小説はスッと心に沁み入るような温かさがあって、霧江の人柄がよく表れている。
南雲先輩と何を話しているんだろう?
「あ、はるちゃん」
霧江が私に気がついた。
「やあ、晴瑠ちゃん」
「お疲れ様です。霧江と南雲先輩が話してるなんて珍しいですね?」
この二人が話してるところあまり見たことなかったけど、部誌の相談かな?