深雪くんと運命の恋
その後のサークルで何をしたか覚えてない。
読みかけの小説の内容は何も頭に入らなかった。
部室でも仲睦まじく話している霧江と南雲先輩。
まさか先輩の好きな人が霧江だったなんて。
そっか、霧江だったんだ――。
私は一度だけ霧江と恋バナをしたことがある。
恥ずかしがり屋でピュアな霧江は恋バナが苦手で、あまり話してくれない。
「今私は好きな人いるよ」って言ったら、ものすごく恥ずかしそうにして「気になってる人がいる」と教えてくれた。
真っ赤になって照れてるのがすごくかわいいなって思った。
まさか南雲先輩だったとは思わなかったな……。
そして先輩は霧江を選んだ。
私も先輩とはよくおすすめの小説の話とかしてたし、結構いい感じだと思ってたんだけどな……。
その時、スマホの着信音が鳴った。
「……もしもし」
『あ、空井さん?お疲れ様です』
「お疲れ様です」
電話の相手は店長だった。