初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
6.
     ~*~*~*~*~


 その後、無事にイアン・ダリルとケイト・カーラの婚姻無効が認められた。

「格好悪いところを見せてしまったな」

 中央省執務室――。
 他の文官たちは、各大臣の応援へと駆り出されている。ちょうど案件が重なってしまったのだ。
 そんななか、イアンとマレリは例の事件の報告書を作成しているところであった。

「あなたが、自ら囮になると言ったからでしょう? どうせケイトはあなたのことを狙っていたのだから。カーラ商会、手口が巧妙すぎて、なかなか証拠がつかめなかったのよね」
「囮になったのはいいが……しくじったな……」
「あの薬が、あれほどまで強力なものとは知らなかったからね」
「だからって、君が囮になると言い出したときには、やっぱり俺がそれをするしかないと思ったんだ」

 イアンの言葉に、マレリは微笑んだ。
 彼らが恋人同士と呼ばれる関係であり、近い将来に結婚を約束している仲というのは事実である。
 その前の大きな仕事であった。

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