初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
「でも、ケイトのことだから。薬のせいであったとしても、初夜にあなたが迫ったのであれば、喜んで受け入れたんじゃないのかしら?」
「それはないな」
「あら、自信満々だこと。証拠でもあるの?」

 口だけではなんとでも言える。すべては証拠。双方そろっての証拠が必要だ。

「俺は君以外に反応しないからね。だから、あのときだって未遂だ」
「バカ……」

 マレリは小さく呟いて、微笑んだ。

「そうそう。結婚式の夜、俺、ケイトに言ったんだった」
「なんて?」
「君を愛するつもりはない。と」
「ふぅん。もしかして彼女、そこからの溺愛とかを期待していたりして。何かの物語のように」

 ふふっと彼女は笑う。

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