初夜に「君を愛するつもりはない」と夫から言われた妻のその後
ダリル家にも夜会の招待状は届いているらしい。だけど、それはすぐに王宮にいるイアンのもとへと届けられているとのこと。
ケイトが結婚してから夜会に出席していないのは、それが原因だ。
人の噂というのは、風にのるかのようにして聞こえてくるもの。
イアンはケイトではない女性をエスコートして、夜会に参加しているらしい。
それもこれも噂であるが、火のないところに煙は立たない。
――どうしてこうなってしまったのだろう。
考えても仕方のないことだとわかっている。
噂を聞けば聞くほど、彼がエスコートしている女性は、かつての恋人のマレリ・エルキシュであると確信する。
マレリはエルキシュ子爵家の令嬢。イアンのパートナーとしても釣り合いがとれている。
彼女は女性でありながらも、王宮に文官として出仕している。それは今も変わらず。
となれば、イアンは絶対にマレリと顔を合わせている。
それを思うだけで、胸が苦しい。つつぅと、涙が頬を伝った。
この国では特別な理由がないかぎり、離縁は認められない。
その特別な理由とは、二年の間、男女の交わりがないこと。交わりがなければ子が望めないからだ。ようは『白い結婚』と呼ばれる関係である。
血筋を重んじるこの国ならではの決まりなのだろう。
だからこそ、姦通罪なるものも存在している。
イアンがケイトと婚姻関係を続けているのに、マレリと関係を持っていたら、それこそ罪になる。
ケイトが結婚してから夜会に出席していないのは、それが原因だ。
人の噂というのは、風にのるかのようにして聞こえてくるもの。
イアンはケイトではない女性をエスコートして、夜会に参加しているらしい。
それもこれも噂であるが、火のないところに煙は立たない。
――どうしてこうなってしまったのだろう。
考えても仕方のないことだとわかっている。
噂を聞けば聞くほど、彼がエスコートしている女性は、かつての恋人のマレリ・エルキシュであると確信する。
マレリはエルキシュ子爵家の令嬢。イアンのパートナーとしても釣り合いがとれている。
彼女は女性でありながらも、王宮に文官として出仕している。それは今も変わらず。
となれば、イアンは絶対にマレリと顔を合わせている。
それを思うだけで、胸が苦しい。つつぅと、涙が頬を伝った。
この国では特別な理由がないかぎり、離縁は認められない。
その特別な理由とは、二年の間、男女の交わりがないこと。交わりがなければ子が望めないからだ。ようは『白い結婚』と呼ばれる関係である。
血筋を重んじるこの国ならではの決まりなのだろう。
だからこそ、姦通罪なるものも存在している。
イアンがケイトと婚姻関係を続けているのに、マレリと関係を持っていたら、それこそ罪になる。