愛でられて、絆される
しばらくして、先程の従業員が入ってきた。

「失礼します!
オーナー、お持ちしましたよ!」

「ん。ありがとう!
あとは、僕がするから」

「はい!
……………」
那王に軽く頭を下げ、絆奈を見て微笑んだ。

絆奈も慌てて頭を下げた。


従業員が出ていく。
すると那王が、大きくため息をもらした。

「那王くん?」

「ほんと、困るね…」
(絆奈が可愛すぎて)

「え?」
(困る?)

「………ううん…
それより、これ見て?」

テーブルに置かれた、小さな箱とチェーン。
小さな箱の中身は、ペアリング。

「那王くん、これ…/////」

「婚約指輪だよ…………!」

「……/////」

「あ、でも!
心配しないで?
すぐにどうこうってわけじゃないから!
━━━━━これは、プロポーズの前のプロポーズ…みたいな?」

「……/////」

「………って言われても、意味がわかんないよね(笑)
僕はね、絆奈のこれからの全てが欲しいと思ってる。
この10年間━━━ずっと心の中に絆奈がいて、昨日再会してやっぱり“欲しい”って思った。
だからって、絆奈の気持ちも大切にしなきゃだから………
まだ、この指輪をつけてくれなくていい。
この先、絆奈が“僕と結婚したい”と思ったら、薬指につけてほしい━━━━!
それまでは、このチェーンに指輪をつけて、首につけてて。
受け取って…くれ、る……?」

「……/////うん/////
ありがとう!」

「いいの?」

「うん!」

「はぁぁぁ………」
ぐったりと、項垂れる那王。

「え?え?な、那王くん!?」

「良かったぁぁぁ………」

「え?え?」

「断られたらどうしようって、ドキドキだったから」

「え?」

「だって、かなり勝手なこと言ってるでしょ?僕」

「………」
(そんなことないと思うけどな)

「でも、ありがとう!
嬉しいよ!」

「私の方こそ、そこまで想ってくれて嬉しい!」

「うん!
よし!じゃあ……」
那王は指輪をチェーンにつけて、絆奈の首につけた。
そしてその指輪にキスをする。
(一日でも早く、絆奈の指につきますように……)

「ありがとう!綺麗な指輪だね!」

「そう?
僕がデザインしたんだよ!」

「そうなの!!?
凄い!センスあるんだね!素敵…/////」

「フフ…
指につけてもらえるようになったら、サイズを直そうね!
今は、僕の予想サイズだから(笑)」
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