愛でられて、絆される
“僕には、薬指につけて?”
そう言われ、絆奈は那王の左手の薬指に指輪をはめた。
那王が絆奈の手に、指を絡めてきた。
「早く絆奈に“結婚したい”って思ってもらえるように頑張るからね!」
「うん」
目の前で嬉しそうに微笑んでいる那王を見て、まだ絆奈は“心から”笑えなかった。
私の方こそ“やっぱり、絆奈とは結婚しない”って思われないようにしないと━━━━━━
そんなことを、考えていた。
そして二人は、VIPルームを出て店内に向かった。
絆奈が、他のアクセサリーを見てみたいと言ったからだ。
「綺麗~!」
(…………でも…値段、エグい……)
うん十万~うん百万。
絆奈には、未知の世界のようだ。
「何か、欲しい?」
「へ!?」
「ネックレスは、それをつけててほしいから……
ブレスレットとか?
ピアスにする?」
「い、いえ!!滅相もございませんですよ!!」
首をぶるぶる振って言う、絆奈。
「遠慮しなくていいのに…」
「いや!遠慮してない!!
ほんとに!!
この指輪だけで、十分だよ!!」
「そう?
また、欲しくなったら言いなよ!
いつでも、買ってあげるよ!」
「う、うん…」
一通り見て、店を出た那王と絆奈。
二人を見送って、従業員達が話している。
「━━━━受け取ってもらえたみたいだな!」
「だな!
オーナー、薬指に指輪つけたから」
「良かった。
これで受け取ってもらえなかったら、オーナーどうなってたか……」
「昨日の午前中、凄かったもんなぁー」
「フフ…あんなソワソワしたオーナー、初めて見たし(笑)」
「でも、フィアンセの子。
思ってたのと違うね!」
「確かに…」
「え?でも、可愛いじゃん?」
「可愛いよ、可愛いけど…!」
「なんか、ピュアそうだよね!」
「そう、それ!」
「いいじゃん、ピュア!」
「まぁでも、袴田。
絶対、手ぇ出すなよ?」
「オーナーの宝物なんだからな!」
意味深に言われる、袴田という従業員。
「…………わかってますよ…!」
降参という風に、両手を上げて微笑んだ。
「━━━━那王くん」
「ん?」
「従業員さんって、男性だけなの?」
「うん、そうだよ」
「どうして?」
「うーん…その方が、客が来るからかな?」
「そう、なの?」
「絆奈も“イケメン店員”って聞いたら、行ってみたいと思わない?」
「う、うん…まぁ…」
「アクセサリーは、女性がターゲットだからね!
まぁ、今は男性もアクセサリーつけたりするけどね。
ここを立ち上げたのは、叔母だし」
「じゃあ“HONAMI”って……」
「うん、叔母の名前だよ。
佐伯原 穂南。
HONAMI Jewelryの会長だよ!」
「そうなんだ!」
「……………僕…親いないから……叔母が親代わりだったんだ……」
「………」
(し、知らなかった…)
那王の表情がなんだか苦しそうで、絆奈はこれ以上聞けずにいた。
そう言われ、絆奈は那王の左手の薬指に指輪をはめた。
那王が絆奈の手に、指を絡めてきた。
「早く絆奈に“結婚したい”って思ってもらえるように頑張るからね!」
「うん」
目の前で嬉しそうに微笑んでいる那王を見て、まだ絆奈は“心から”笑えなかった。
私の方こそ“やっぱり、絆奈とは結婚しない”って思われないようにしないと━━━━━━
そんなことを、考えていた。
そして二人は、VIPルームを出て店内に向かった。
絆奈が、他のアクセサリーを見てみたいと言ったからだ。
「綺麗~!」
(…………でも…値段、エグい……)
うん十万~うん百万。
絆奈には、未知の世界のようだ。
「何か、欲しい?」
「へ!?」
「ネックレスは、それをつけててほしいから……
ブレスレットとか?
ピアスにする?」
「い、いえ!!滅相もございませんですよ!!」
首をぶるぶる振って言う、絆奈。
「遠慮しなくていいのに…」
「いや!遠慮してない!!
ほんとに!!
この指輪だけで、十分だよ!!」
「そう?
また、欲しくなったら言いなよ!
いつでも、買ってあげるよ!」
「う、うん…」
一通り見て、店を出た那王と絆奈。
二人を見送って、従業員達が話している。
「━━━━受け取ってもらえたみたいだな!」
「だな!
オーナー、薬指に指輪つけたから」
「良かった。
これで受け取ってもらえなかったら、オーナーどうなってたか……」
「昨日の午前中、凄かったもんなぁー」
「フフ…あんなソワソワしたオーナー、初めて見たし(笑)」
「でも、フィアンセの子。
思ってたのと違うね!」
「確かに…」
「え?でも、可愛いじゃん?」
「可愛いよ、可愛いけど…!」
「なんか、ピュアそうだよね!」
「そう、それ!」
「いいじゃん、ピュア!」
「まぁでも、袴田。
絶対、手ぇ出すなよ?」
「オーナーの宝物なんだからな!」
意味深に言われる、袴田という従業員。
「…………わかってますよ…!」
降参という風に、両手を上げて微笑んだ。
「━━━━那王くん」
「ん?」
「従業員さんって、男性だけなの?」
「うん、そうだよ」
「どうして?」
「うーん…その方が、客が来るからかな?」
「そう、なの?」
「絆奈も“イケメン店員”って聞いたら、行ってみたいと思わない?」
「う、うん…まぁ…」
「アクセサリーは、女性がターゲットだからね!
まぁ、今は男性もアクセサリーつけたりするけどね。
ここを立ち上げたのは、叔母だし」
「じゃあ“HONAMI”って……」
「うん、叔母の名前だよ。
佐伯原 穂南。
HONAMI Jewelryの会長だよ!」
「そうなんだ!」
「……………僕…親いないから……叔母が親代わりだったんだ……」
「………」
(し、知らなかった…)
那王の表情がなんだか苦しそうで、絆奈はこれ以上聞けずにいた。