愛でられて、絆される
人気のジェットコースターに着く。

「やっぱ、多いね…!」
「絆奈、どうする?
待つ?それとも、少ないのから乗る?」

「後からだとまた多くなりそうだから、待つよ!」
「ん。
じゃあ、ゆっくり並ぼうね!」


待ち時間を、他愛ない話で時間を潰しながら順番がくるのを待つ。

少しずつ前に進んでいき………

順番が近づくにつれて、絆奈の言葉数が少なくなってきた。

「━━━━絆奈?」
「ん?」

「どうしたの?
体調悪くなっちゃった?
人酔いしたかな?」
「ううん、大丈夫だよ」

「なんか、急に黙りだしたから」
「そうかな?」

「………」
「………」

「…………もしかして、怖いとか?」
「え…!?
だ、大丈夫だよ!
那王くんがいるし、手、繋いでるし」

「無理しないで?
やっぱ、違うの乗ろ?
ジェットコースターにしても、確か……あ!これ!これなら、比較的怖くないはずだし!」
パンフレットを見せながら言う、那王。

「ほんとに大丈夫だよ!
ほんとに!
那王くんがいるから!
那王くんは好きでしょ?絶叫系のアトラクション」

「え?」

「中学生の時、言ってたでしょ?
“あの、高いところから落ちていく時の感じ、ぞくぞくして好き”って!」

「覚えててくれたの?」

「当たり前!
那王くんとの会話は、忘れない。
それくらい、私にとっての大切な思い出なの!」

「あーもう!絆奈、好き!!」
思わず那王は、絆奈を抱き締めるのだった。


順番が来て、乗り込む。
「那王くん…」
「大丈夫!
絶対、離さないからね!」
不安そうに見る絆奈に、安心させるように微笑む。

「手、握り潰したらごめんね…」
「フフ…絆奈の力じゃ、握り潰せないよ(笑)
だから遠慮なく、握りしめて?」

そしていよいよ動き出す。
テッペンに登っていくにつれ、絆奈の手を握る力が強くなる。

那王が隣に座る絆奈を見ると、緊張したように顔が強張っていた。

それが可愛くて、クスクスと笑った。

きゃぁぁぁーーーーーー!!!!!!

絆奈を含めた客達の悲鳴と共に、一気に落ちた。


「━━━━大丈夫?」
「う、うん…」

「ちょっと、休憩しよ?」
「いやいや、まだ一つしか乗ってないよ?
せっかく来たんだしね!
ただ、次はおとなしめの乗り物でお願いします…」

「フフ…はい、承知しました!(笑)」
< 17 / 68 >

この作品をシェア

pagetop