愛でられて、絆される
それから、手当たり次第アトラクションに乗り…………

「あ!那王くん、もうこんな時間だ!」
「ほんとだ!(笑)
そう言えば、お腹すいたー!」

「そうだね(笑)
何食べる?」
「うーん…絆奈が決めて?」

「たまには那王くんが決めて?」
「そう?
でもなぁー、僕ほんとに何でもいいんだよなぁ」

パンフレットを見ながら、うーんと唸っている那王。
そして「あ!」と言った。

「ん?」
「カレーなんてどうかな?
この写真のカレー、美味しそう!」

「フフ…ほんとだ!
うん!いいよ!」


注文し、仲良く微笑み合って食べる。
「んー、美味しい!」
「美味しいね!」

すると━━━━━

「あっ!?」
カレー口に運ぶ際、滑ってしまい服の胸元辺りにカレーがついてしまう。

「………」
(う、嘘ー!!!
那王くんがプレゼントしてくれた服がぁー!!)

「僕、おしぼり貰ってくるね!」
那王がおしぼりを持ってきて、拭いてくれる。

「………」
絆奈は、ショックで言葉が出なくなっていた。

「絆奈?」

「ごめんね…せっかく、プレゼントしてくれたのに……」

「何言ってるの?(笑)
ちょっとカレーがついただけでしょ?
とりあえず、これだけ取れれば後は大丈夫だし!」

「でも、こんな高い服…」

「絆奈が、いつも大切に着てくれてるの知ってるよ!
僕と会う時、必ずプレゼントした服を着てきてくれるでしょ?
毎回クリーニング出してるじゃないかってくらい、綺麗に保たれてるもん!
だから、気にしないで?
わざとじゃないんだし!ね?」

「うん…」


しかし、食事を終え外を歩いていても、どうしても落ち込んでしまう。

「………」
「………」

すると那王が言った。
「あ!ねぇ、買いたい物があるんだ!
ショップに寄っていい?」

「え?うん」
頷き、園内で一番大きなショップに入る。

「パーカー買わない?
お揃いのやつ!」
「え?うん、いいよ」

「どれがいいかな~?」
「うーん…あ!そこのやつは?
限定って書いてあるよ?」

「おっ!いいねぇ~
これならシンプルだし、普段も着れるね!」
「うん!」

そして会計時、那王が言う。
「すみません、すぐに着るのでタグを切ってもらえますか?」

「え……」


「どうせなら、着ちゃおうよ!」
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