愛でられて、絆される
きっと那王くんは、私が落ち込んでいたから気を遣ってくれたんだ━━━━━

購入して、パーカーに着替えながら絆奈は考えていた。

着替え終わり外に出ると、色違いのパーカーを着た那王が待っていた。
パンフレットを見ながら、次に乗るアトラクションを考えているのだろう。

とても柔らかくて穏やかな雰囲気を醸し出していた。

絆奈は、那王を彼氏に出来たことの幸せを噛みしめていた。

那王の方に駆け寄る。
「お待たせ!」

「うん!あ…////やっぱ、可愛い!」

「フフ…ありがとう!
那王くんも、とってもカッコいいよ!」

「フフ…」
差し出された那王の手を握る。
二人は、ゆっくり歩き出した。

絆奈は、並んで歩く那王を見上げた。
那王も絆奈を見下ろしてきて、目が合って微笑み合った。

そんな小さな事が、とても幸せに思えた。


そして━━━━辺りは暗くなり、閉園時間が近づく。
那王と絆奈も、ゆっくり出口に向かっていた。

「今日、楽しかったね!」
「うん!久しぶりにこんなはしゃいだかも?(笑)」

「フフ…そうだね!
…………」

「………那王、くん?」

那王はいつもデートの帰りになると、途端に切なそうな顔をする。
「絆奈、もう…帰んなきゃだよね……?」

「う、うん…
明日、仕事だから」

「だよね……」

「ごめんね、明日がお休みだったら泊まって帰るんだけど……」

「うん、わかってる。
ごめんね……!」


那王が絆奈の実家まで送る。
門の前で、絆奈の両手を包み込んだ。

「絆奈、またね!」
「うん!那王くん、帰り気をつけてね!」

「うん!また、連絡するからね!」
「わかった!」

毎回、こんな風に名残惜しい別れをする二人。

そして那王の顔がゆっくり近づく。
絆奈もゆっくり目を瞑る。

「……/////」
軽く口唇が重なり、キスをする。

そして那王が手を離し頭をポンポンと撫でて、小さく手を振って去っていく。

絆奈はそれを、那王が見えなくなるまで見送り家に入るのだ。

< 19 / 68 >

この作品をシェア

pagetop