愛でられて、絆される
「は?」

「彼女は、僕の恋人です!」

“だから、あなたの入る隙はありませんよ”
那王は、牽制の意味も込めて微笑み言った。

「………」
その那王の視線を受け止めて、島山がフッ…と笑った。

那王と島山が、今回の店内の装飾の話をしている。
それを絆奈は、ただただ見惚れながら見つめていた。

「……/////」
(仕事モードの那王くんも、カッコ良すぎ…/////)

「━━━━では、そのように」
「よろしくお願いします!」

「……/////」

「一橋もなんか意見━━━━おい、一橋?」
「絆奈?」

「……/////」

「一橋!!」

「……っはい!!」

「話!!聞いてた!?」

「あ……」
(ま、まずい…全然、聞いてなかった……)

「………はぁ…一橋、これ」
島山が車の鍵を渡してくる。

「え?」

「お前、先に車に行ってろ。
後はいいから」

「は、はい…すみません!
那王く…あ…由利原さんも、すみませんでした!」
那王と島山に頭を下げ、店を出ていった。

「すみませんでした!」
絆奈を見送り、島山も頭を下げる。

「いえ!大丈夫ですよ」
那王は微笑んだ。

「普段はあんなんじゃないんですが……」

「知ってますよ。
彼女は出来る人ですので。
確かに、飛び抜けて何かに優れているわけではないけど……
“一度犯した失敗は、二度と繰り返さない”
━━━━━━そんな人です」

「あ、あぁ、そうですね(笑)
失礼しました」

「いえ」

「………」

「では、よろしくお願いします!」


━━━━━そして店を出ていく前。

島山が那王を見据えて言った。
「聞いてもいいですか?」

「はい」

「一橋とは、どうやって知り合ったんですか?」

「中学の時の同級生です」

「あぁ、そうゆうことか。
それからずっと?」

「いえ、中学卒業からは会ってませんでした。
先々月の同窓会で再会して、その時から付き合ってます」

「そうですか」

「では、僕はこれで……」
丁寧に頭を下げた、那王。

オーナー室に戻りながら、胸ポケットからスマホを取り出した。

絆奈に、一言でも慰めの言葉を伝えたい。

そんな思いで、電話をする。
でもなかなか出なくて、メッセージを入れた。

【絆奈、お疲れ様!
会えて嬉しかった!
あと、さっきのことは気にしないで、仕事頑張ってね!
大丈夫だからね!】
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