愛でられて、絆される
「絆奈」
「ん?」

「袴田には、気を付けて」
「え?」

「袴田は女好きでね。
可愛い子見ると、すぐに興味持って口説こうとするんだ」

「でも、優しいよ。
今も心配してくれたし」

「………」

「ん?那王くん?」

「ううん。
“そんなことより”何処行こうか?」

この日も沢山の服を買ってもらった絆奈だった。


そんなある日。

「一橋さーん!」
「はい!
岸峰(きしみね)さん、お疲れ様です!」

「今から、少し付き合ってほしいんだけど……
時間ある?」
「あ、はい!大丈夫です!」

「彼氏と約束とかしてないかな?」
「大丈夫ですよ!」

「その彼氏さんのショップについてきてほしいの」

岸峰は、絆奈の同僚店員。
でも年は、岸峰の方が上だ。

ほぼ一緒にFLOWER AVEに入った社員で、絆奈が一番仲の良い仕事仲間である。

岸峰は、まさに才色兼備な女性。
美人な上に、岸峰の母親が華道家なのもあり、岸峰本人も花の選び方や生け方がとても美しく、島山の次に人気の店員である。

「良いですよ!」
「ありがとう!彼に、プレゼントをしようと思ってて……でも、一人で行くのがちょっと…/////」

「そうなんですね!わかりました!」
(ほんと、綺麗な人…//////
こんな風になりたいな!
━━━━━あ!)

「あの!その代わりと言っちゃなんですが……
私も、お願いが……」
「ん?何?何でも言って?」


━━━━━━━━━
━━━━━━…………

二人は、HONAMI Jewelryに向かった。
まずは岸峰のプレゼントを選ぶ。

店に入ると、袴田が接客してくれた。

「あれ?絆奈ちゃんだー!
いらっしゃいませ!」

「こんにちは!」

「オーナーに用?
ちょっと待ってね!」

「あ!いえ!今日は、友達の付き添いで……」

「そっかぁー
こんにちは!
友達も、綺麗な人だね!」

「どうも」
岸峰からすれば、袴田のような男は日常茶飯事。
微笑み、かわす。

「………フフ…
何をお探しですか?」

「まだ、はっきり決めてなくて……」

「でしたら、こちらなんか━━━━━━」


岸峰が選ぶ間、絆奈も隣で一緒になって見ていた。

「ん?このピアス、綺麗…/////」
(那王くんに合いそう!)

那王がつけているところを想像し、思わずにやける絆奈。
(プレゼントしたら、喜んでくれるかな?
…………値段…エグいけど、クレジットなら私にも分割で払えるよね……
いや、一旦お母さんに全額借りて、毎月返すって方法も…
それなら、利子付かないし……
うーん…うーん…)

どうしようかと、一人で唸っていた。
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