愛でられて、絆される
「ねぇねぇ!」

微笑み、スマホを見ていると背後から突然声をかけられた。

「え……」
(だ、誰?)

「君、可愛いね~」
「一人?」
振り返ると、男性がニヤニヤして立っていた。

「え?え?」
(な、何なの!?
なんか、怖いよ……)

「一緒にお茶しない?」
「もちろん、奢るからさ!」

「いや、私、彼を待ってるので……」
(まさか、これが俗に言うナンパ!?)

「いいじゃん!」
「ね?行こ?」
手をガシッと掴まれる。
「え!?ちょっ━━━━━」

「絆奈!!」
そこに、那王の声が響いた。

「あ……那王くん!!」

「あれ?
その人達、友達?
おかしいなぁ。
絆奈に、そんな失礼な友達なんていたかな?」
微笑み近づいてくる、那王。
でも、その笑顔には言葉にならない恐ろしさがあった。

絆奈を抱き寄せると、男性二人に向き直った。
そして、微笑み言った。
「悪いんだけど、これからデートなんだ!
帰ってもらえる?」

(早く、消えろ)
そんな那王の視線と雰囲気に、男性二人はたじろぐ。
チッ…と舌打ちをして去っていった。

「絆奈、大丈夫!?」
「え?あ、うん」

「ごめんね、僕が遅かったから……」
「ううん!
でも、ビックリしちゃった(笑)
私、こんなの初めてだったから。
フフ…ナンパしてもらえるくらい、私綺麗になったのかなー?
…………なーんて!(笑)」
クスクス笑う、絆奈。

「こら、絆奈!!」
軽く、頭を叩かれる。

「え?」

「危ないんだよ?
気をつけなきゃ!!」

「あ…ご、ごめんなさい…」

「これからは、絆奈の職場か家に僕が迎えに行くようにしようね!」

「え?家はいいけど、職場は……」

「ダーメ!」

「じゃあ、那王くんのお店に行くとか」

「うーん…それもなぁー」

「那王くん?」

「それよりも、今日は一段と可愛いね!」

「ほんと!?」

「うん。可愛くて……このまま閉じ込めてしまいたいくらい…」

「ん?ごめん、何て言ってるか聞こえなかった!」
那王の声が聞こえなくて、耳を寄せる。

「ううん!
ねぇ、今日はこのまま僕のマンション行かない?
弁当かなんか買ってさ」

「え?
うん、構わないけど…
でもどうしたの?」

「ん?二人っきりになりたいなって!」
そう言って、口唇を頬に寄せ軽くキスをした。
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