愛でられて、絆される
「━━━━もうそこまで進んだんですね!」

那王達がよく行く居酒屋。
袴田が、従業員に那王と絆奈が同棲を始めたことを言うと従業員達も嬉しそうに言った。

「まぁね」

「でも、絆奈ちゃんが同棲をOKするなんて意外~」
袴田がビール片手にクスクス笑う。

「絆奈がOKってゆうか、絆奈“の方から”同棲したいって言ってきてくれたんだよ?」

「え……」
「「「そうなんですか!?」」」

那王は頷き、サラダのトマトを口に入れた。

「意外…」
「だよな…」

「まぁ、そうだね」

「なーんだ!
絆されてるのは、オーナーの方だけじゃないんだ!」

「え?」

「だって…ね?」
「オーナー、同窓会の日の午前中そわそわしてて変だったし」
「つい半年前に別れた元カノだって“同窓会の案内が来たから”別れたんでしょ?」

「誰がどう見ても、絆奈ちゃんに絆されてるって思うじゃないですか~!」

「あー、そうだね(笑)
リノ(元カノ)とは、元々別れ話が出てたしね」

「でも正直、絆奈ちゃんを店に連れてきたあの時、ビックリしました。
絆奈ちゃんはリノちゃんとはタイプ違いますよね」

「あー(笑)
リノはしっかりしてるってゆうか、サバサバした性格だったもんね。
絆奈は、控え目ピュアだし!」

「でも、可愛いじゃん!
真っ白だから、自分色に染められる(笑)」

「は?」
那王が、持っていたグラスを少し乱暴に置いた。

「おぃおぃ袴田!!」
「お前、酔ってるだろ!」
「やめとけよ!
言ったろ?
絆奈ちゃんは、オーナーの宝物なんだからって!」

「だから!わかってますって!
それに、俺はもっと刺激的な子が好きなの!
危なっかしくて、ほっとけないみたいな子!!
絆奈ちゃんは、ほんとに可愛いなぁってだけですから!
からかい甲斐がありそうだとは思うけど」

「………」
那王が不機嫌になってしまう。

「オーナー!そんな怒んないでくださいよぉ。
てか!俺より、絆奈ちゃんの職場の奴を警戒した方がいいですよ?」

「は?」

「ほらこの前、絆奈ちゃんと一緒に店に来た男ですよ!
FLOWER AVEの!」

「あぁ、島山さんか」


「あの人たぶん、絆奈ちゃんに惚れてますよ━━━━━━」
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