愛でられて、絆される
「━━━━指輪、サイズ直しておくね!」

後ろから包み込まれている状態で横になっている、絆奈。
後ろから回ってきている那王の手が、絆奈の左手の薬指に触れている。

「うん!」

「嬉しいな/////
やっと、手に入った……!」

「私も…嬉しい…/////
那王くんの、お嫁さん…/////」

「フフ…これで、本当の婚約者同士だね!」


次の日。
那王に渡すおにぎりを作り、早速弁当につめた絆奈。
メッセージカードを取り出し、メッセージを書く。

「…………よし!」
それを弁当の上に置き、ランチバッグに入れた。

「じゃあ絆奈、先に出るね!」
「うん!
これ!お弁当!」

「フフ…ありがとう!
あ、あと!昨日のおにぎり、美味しかったよ!
言うの忘れてた!ごめんね。
今日も、美味しく頂きます!」

「うん!
行ってらっしゃい!」

「うん、行ってきます!
絆奈も、気をつけてね!」
そう言って顔を寄せ、キスをかわした。


マンションを出て、那王はゆっくり駅まで歩く。
そこから電話に乗り、通勤している。

店に誰よりも早く出勤し、店の前のごみ拾いや店内の清掃などを行う。
そうしていると、袴田達がぞろぞろと出勤してくるのだ。

「「「おはようございます!」」」
「あ、おはよう。
昨日、岸峰さんどうだった?」

「はい、ちゃーんと送りましたよ!」
「袴田をゆらりとかわすのが、めっちゃウケました(笑)」

「そうなんだ(笑)」

「やっぱ美人は口説かないとですしぃー」
「でも、ちょっとひいてたぞ?」
「まぁ、慣れてる感じではあったけど」
「確かに!(笑)」

「………」
絆奈以外の話は、正直興味ない。
袴田達の話をなんとなく聞き流しながら、黙々と作業をする。

「あ!それで絆奈ちゃんの話、色々聞きましたよぉ~!」

「え?」
そこで、バッと袴田達を見た。

「おっ!オーナーが興味持った!(笑)」
「オーナー、わかりやすっ!(笑)」

「どんな話?」

「職場内での話ですよ!」
「オーナーに再会して、綺麗になったって評判らしいです!」

「そっか」

「島山って先輩と相変わらず仲良いみたいだし」

「………」
(そう…なんだ……)
その言葉に、思わず口をつぐんでしまう那王。
考え込むように、一点を見つめていた。
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