愛でられて、絆される
その頃絆奈は、風呂に入っていた。
上がって、リビングに戻る。

「あ!一橋さん!
メッセージ入ったみたいだよ?
由利原さんじゃない?」

「あ!すみません!」

「フフ…私“ゆっくり”お風呂入ってくるね!」
意味深に微笑み、岸峰がリビングを出ていった。

「もう////」
スマホを確認する。
絆奈は、返事を送った。

【仕事、お疲れ様!
今、お風呂に入ってた!
今日は、岸峰さんのお宅にお泊まりさせてもらえることになったの!
だから、なおくんのいない夜を安心して過ごせそう!
なおくんは、何してますか?】

すぐに既読になり、今度は電話がかかってきた。

「那王くん!お疲れ様!」
『絆奈も!お疲れ様!』

「フフ…那王くんだ!」
『うん!那王だよ!
電話、してよかったかな?』

「大丈夫だよ!
岸峰さんはお風呂に入ってるから!」
『良かった!
ずっと、岸峰さんといたの?』

「うん!
岸峰さんがフレンチの招待券を持ってて、ご馳走してくれたの!
今日から那王くんが出張だって話したら、泊まりにおいでって言ってくれて!
だから今日はなんとか、寂しい日にならなさそう!」

『そっか!それでか……』
「ん?」

『ううん!
…………でも絆奈、僕は寂しいな…』

「あ…そう…だよね……
えーと…どうすればいいかな?
…………あ!動画!顔見て話す?」

『フフ…うーん…大丈夫だよ!
ありがとう!』

「え?でも、寂しいでしょ?」

『会いたくなるから』

「え?」

『今も、声聞いて既に会いたくなってる。
だから顔を見たらもう…我慢出来なくなる』

「…………那王くん」
『ん?』

「どうすればいい?」
『え?』

「どうすれば、那王くんは今日安心するかな?」

『そうだなぁー、絆奈が“好き”って言ってくれたら、安心する!』

「うん。
大好きだよ!那王くん」

『うん、僕も!大好き!』

「ほんとだよ!
言わされたとかじゃないからね!
本当に、大好きだよ!」

『うん!ありがとう!
…………フフ…初日でこんな感じなんて、僕達五日間もつかな?(笑)』

「フフ…そうだね(笑)
私も、今日はたまたま岸峰さんがいてくれたからよかったけど、明日からが不安だなぁ(笑)」

『また、電話し合おうよ!』
「うん!」

それから“おやすみ”と言って、通話を切った。
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