愛でられて、絆される
「━━━━ご馳走さまでした~!」
雨も止み、雲が晴れて星が出てきたので、帰ることにした絆奈。
奢ってくれた島山に礼を言う。

「ん。
じゃあ、送るから!」
「すみません」

「えーと…実家じゃねぇんだよな?」
「あ、はい」

島山の雰囲気が切なくなる。
「先輩?」

「…………あのさ。由利原さんと婚約したってほんと?」
切ない雰囲気のまま、瞳を揺らす島山。

「え?あ、はい」

「そ…なん…だ…」

「え?え?先輩?」

「まさか、初恋を実らせるとはなぁー!
想定外だし!(笑)」

「え?え?」

「お前のこと、可愛いなぁって思ってたんだ。
FLOWER AVEに入ってきた時、岸峰がいたからってのがあってあんま目立たなくて地味だったじゃん?」

「あー、岸峰さん、美人さんだから!
一気に人気者だったですもんね!」

「━━━━━━でも俺は、お前ばっか見てた」

「え……」

「お前、いつも一生懸命だったろ?
その真っ直ぐさが眩しくてさ!
俺が教えることを、目をキラキラさせて見てて。
可愛いなぁって!」

「……/////あ、ありがとうございます…//////」

「好きになってた━━━━━」

「………え…?」

「………」

「………え?え?」

「………」

「え?あ、あの…先ぱ……」

「だからって、どうってわけじゃねぇぞ?」

「………」
絆奈は、どう答えたらいいかわからない。

「あー!やっぱ、言うんじゃなかったーーー!」

「えーと…」

「お前、幸せなんだろ?」

「あ…はい」

「だったらいい!
お前が幸せなら!」

「な、なんか…ごめんなさ━━━━━」
「あーーー!謝られると、余計に惨めになる!
いつも通りにしてくれ!」

「えーと…じゃあ……
ありがとうございます!」

「ん。
それにさ。
とうの昔に、吹っ切れてるから!」

「え?」

「だってお前、同窓会に行った後からあからさまに幸せオーラ全開だったじゃん!
なんか嫉妬とか通り越して、馬鹿らしくてさ!
そのくらい……由利原さんのことばっかだし!」

「……/////え?/////」
(そ、そんなに…!?)

「お前、分かりやす過ぎ!!」

「……/////」

絆奈は終始、顔を真っ赤にしていた。
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