愛でられて、絆される
「━━━━絆奈、まだ寝なくても平気?」

時間はもう…0時を過ぎている。
那王は絆奈の頬に触れ、窺うように言った。

「うん、大丈夫だよ!
でも、由利原くんが眠いなら……」

「僕も大丈夫だよ!
むしろまだ起きて、絆奈と話したいな!」

「うん!喜んで!」

微笑む絆奈に、那王も微笑んだのだった。



二人の話は全く尽きない。
「━━━━へぇー!フラワーショップか!
何て言う、ショップ?」

「FLOWER AVEって言う、結構大きな店なんだけど……」

「あー!知ってるよ!
確か…二年前?かな?
そこが作った大きな花のアーチが公園にあるって、テレビで特集されてたよね?」

「うん!
それ、私が憧れてる先輩の発案なの!」

「へぇー!」

「偏見かもしれないけど、男性なのに女性が喜ぶプレゼントとか、アレンジとかをよく思いつく人で!
先輩が作る花束は、とっても人気なんだよ!
その花束で、プロポーズ成功した人も多くて!」

「………」

「ん?由利原くん?」

「男性なの?
憧れの人」
微笑んでいた那王の表情が、曇る。
声も、少し低く落ちた。

「え……?」

「どんな人?
絆奈が憧れるくらいのヒトだもん。きっと、カッコいいんだろうな……」
切ないような声に、絆奈は安心させるように微笑んだ。

「素敵な人だよ。
……………でも、由利原くんよりカッコいい人はいないよ」

「え……//////」

「由利原くんは、最初から私の憧れの人だよ。
私の初恋の人で、カッコ良くて、紳士的で……
ずっと、私の心に棲みつくみたいにいた人。
由利原くんだけじゃないよ?
私も、過去にお付き合いした人いたけど、由利原くんと比べちゃって上手くいかなかった。
大学生の時の彼には、結構辛いことされたし…
でも、由利原くんとの想い出のおかげで、前を向いて過ごしていけたんだよ!」

「ありがとう!
…………でも絆奈、狡いよ…」

「え?」

「そんな嬉しいこと言われたら、また抱きたくなるでしょ!」

「え?え?」
那王の顔が近づいてくる。

そして口唇が重なる寸前に、囁いた。

「でも、我慢してあげる。
これ以上は、きっと…絆奈を寝かせてあげられなくなるから」

「……/////」

「フフ…顔が赤くなった!可愛い!」

「も、もう…/////」


「あ!でも!一つ、お願いがあるんだけど!」
「ん?」


「━━━━━━━僕のことも“那王”って呼んで?」
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