【電子書籍化】このたび、乙女ゲームの黒幕と婚約することになった、モブの魔法薬学教師です。
ノエルとの気まずいやり取りの後、学園長と話をしてから教室に向かった。
教室の雰囲気もまた悪くて、貴族の生徒と平民の生徒の間にある空気がピリピリとしている。
「みんな、急だけど、明日の授業は全て魔法薬学になったわ」
「はぁっ?! どうしてだよ?」
ドナが怒って立ち上がる。
彼が好きな体育がなくなったから不服のようだ。
「ちょうどガルデニアの花が咲く季節だからみんなで森に行こうと思って学園長たちに相談したのよ。みんな、外に出たいでしょう?」
ガルデニアとは、回復薬に使う薬草だ。
この季節になると森の中で花を咲かせるんだけど、身を守るために他の植物に化けているから魔法で擬態を解いて探さないといけない。
「採集したガルデニアで回復薬を作る実験をするから、たくさん採ってね」
実のところ、ガルデニアの花は回復薬には使わない。
この花が咲く時期には葉の中に魔力を豊富に取り込んでいるからこそ回復薬を作るのに最適な材料になるのだ。
「やりーっ! メガネもたまにはやるじゃん!」
校外学習となると嬉しいらしい。ドナの機嫌はすぐに良くなった。
他の生徒たちもソワソワとし始める。外に出られるのが嬉しくてウキウキとしている様子は年相応で可愛らしい。
「明日は森の中で動き回るから、先生が特別に服を用意したわ。それを着て集合してね」
「「「服?」」」
みんながキョトンとした顔をする。
数名の生徒に手伝ってもらって準備室から芋ジャージを運び出して配った。
「おい、こんなものを着せてどうしたいんだよ?」
ドナは怪訝な顔をしてピラピラと服を振っている。
「みんなで協力してガルデニア探して欲しいから、団結できるようにおまじないを込めた特別な服なのよ」
「別に服とか気にしなくていいだろ? 各自が汚れてもいい服を着て来ればいい話じゃねぇか」
「たまにはお揃いの服を着てみるのもいいじゃない。こんな機会、あんまりないでしょ?」
オリア魔法学園には制服なんてものがないから各々が自由な服を着ている。
だからまあ、貴族と庶民の違いが服装で出てしまうのよね。
「でも……」
「なんか不思議な形の服よね」
「これ、本当に着なきゃいけないの?」
珍しいデザインの服に抵抗があるらしい。
みんな顔を見合わせて、戸惑いの色を浮かべている。
どよめく声が上がる中、アロイスがすっと立ち上がった。
「わかりました。先生が僕たちのために用意してくれてすごく嬉しいです。明日、これを着るのが楽しみです」
アロイスルートのスチルに描かれてそうな柔和な微笑みを浮かべる彼は、たとえ芋ジャージを片手に持っていたとしてもカッコいい。
彼は序盤では全く笑顔を見せないキャラのはずなんだけど、まあ、貴重な笑顔を間近で拝めたからいいか。
芋ジャージを持っているアロイスなんてゲームにも出てこなかったレアショット。辛かったけど徹夜をした甲斐があったわ。
氷の王子様の笑顔、いただきました!
思わず叫びたくなるけど、ここは我慢。
淑女スマイルを貼り付けて彼の笑顔に応えた。
「……わかったよ。着りゃあいいんだろ」
ドナも意外とこのイベントに乗ってくれるようだ。
彼らが着ると宣言すると、他の生徒たちも意を決したようで、「仮装みたいで面白そうよね」なんて言い始めた。
ひとまず第一関門突破のようだ。
明日の校外学習、上手くいきますように。
トラブルメーカーたちが集まってるけど、イベントに【薬草探し】なんてなかったからきっと大丈夫、よね?
あれ、これってフラグかしら?
教室の雰囲気もまた悪くて、貴族の生徒と平民の生徒の間にある空気がピリピリとしている。
「みんな、急だけど、明日の授業は全て魔法薬学になったわ」
「はぁっ?! どうしてだよ?」
ドナが怒って立ち上がる。
彼が好きな体育がなくなったから不服のようだ。
「ちょうどガルデニアの花が咲く季節だからみんなで森に行こうと思って学園長たちに相談したのよ。みんな、外に出たいでしょう?」
ガルデニアとは、回復薬に使う薬草だ。
この季節になると森の中で花を咲かせるんだけど、身を守るために他の植物に化けているから魔法で擬態を解いて探さないといけない。
「採集したガルデニアで回復薬を作る実験をするから、たくさん採ってね」
実のところ、ガルデニアの花は回復薬には使わない。
この花が咲く時期には葉の中に魔力を豊富に取り込んでいるからこそ回復薬を作るのに最適な材料になるのだ。
「やりーっ! メガネもたまにはやるじゃん!」
校外学習となると嬉しいらしい。ドナの機嫌はすぐに良くなった。
他の生徒たちもソワソワとし始める。外に出られるのが嬉しくてウキウキとしている様子は年相応で可愛らしい。
「明日は森の中で動き回るから、先生が特別に服を用意したわ。それを着て集合してね」
「「「服?」」」
みんながキョトンとした顔をする。
数名の生徒に手伝ってもらって準備室から芋ジャージを運び出して配った。
「おい、こんなものを着せてどうしたいんだよ?」
ドナは怪訝な顔をしてピラピラと服を振っている。
「みんなで協力してガルデニア探して欲しいから、団結できるようにおまじないを込めた特別な服なのよ」
「別に服とか気にしなくていいだろ? 各自が汚れてもいい服を着て来ればいい話じゃねぇか」
「たまにはお揃いの服を着てみるのもいいじゃない。こんな機会、あんまりないでしょ?」
オリア魔法学園には制服なんてものがないから各々が自由な服を着ている。
だからまあ、貴族と庶民の違いが服装で出てしまうのよね。
「でも……」
「なんか不思議な形の服よね」
「これ、本当に着なきゃいけないの?」
珍しいデザインの服に抵抗があるらしい。
みんな顔を見合わせて、戸惑いの色を浮かべている。
どよめく声が上がる中、アロイスがすっと立ち上がった。
「わかりました。先生が僕たちのために用意してくれてすごく嬉しいです。明日、これを着るのが楽しみです」
アロイスルートのスチルに描かれてそうな柔和な微笑みを浮かべる彼は、たとえ芋ジャージを片手に持っていたとしてもカッコいい。
彼は序盤では全く笑顔を見せないキャラのはずなんだけど、まあ、貴重な笑顔を間近で拝めたからいいか。
芋ジャージを持っているアロイスなんてゲームにも出てこなかったレアショット。辛かったけど徹夜をした甲斐があったわ。
氷の王子様の笑顔、いただきました!
思わず叫びたくなるけど、ここは我慢。
淑女スマイルを貼り付けて彼の笑顔に応えた。
「……わかったよ。着りゃあいいんだろ」
ドナも意外とこのイベントに乗ってくれるようだ。
彼らが着ると宣言すると、他の生徒たちも意を決したようで、「仮装みたいで面白そうよね」なんて言い始めた。
ひとまず第一関門突破のようだ。
明日の校外学習、上手くいきますように。
トラブルメーカーたちが集まってるけど、イベントに【薬草探し】なんてなかったからきっと大丈夫、よね?
あれ、これってフラグかしら?