能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!

マリー、パーティーを追い出される

バシッ!!

大きなつばの付いた帽子をかぶった妖艶な女が、色あせたグレーの服を着たおさげ髪の女の頬を平手で叩いた。

「ウッ!」

叩かれた拍子におさげ髪の女は地面に倒れこんだ。

「もう、あんたなんかいらないわ!すぐにこのパーティーから出て行って!」

「・・・わかりました。」

おさげ髪の女はそう言ってからゆっくりと立ち上がると、スカートに付いた砂埃を
勢いよくパンパンと両手ではたいてから、

「今までお世話になりました。」

と、言って丁寧にお辞儀をした。すると、同じパーティーの勇者ミハエルが、

「ちょっとちょっとちょっと!二人とも落ち着いて!!」

と、マントを翻しながら慌てて二人に駆け寄った。
金髪碧眼の色男風の勇者ミハエルは、まず妖艶な女の方に向かって両掌を女に向けながら、なだめるように、

「ビクトリア、一旦落ち着いて。身の回りの世話をしてくれるマリーがいないと、僕たちは討伐に
集中出来ないよ。」

ビクトリアはプイっとふてくされたように顔を横に向けた。
そして次に、、勇者ミハエルはマリーに向かって、

「君がいないと、このパーティーはやっていけない。出て行かないでくれ。」

と言って、深々と頭を下げた。

「ハッ!こんな召使いごときに頭を下げるなんて、勇者としてのプライドはないの?」

と、ビクトリアは勇者に向かって言った。

「何を言ってるんだい、ビクトリア。マリーがいないと一体誰が食事の用意や洗濯をしてくれるんだい?」

と、パーティーの他のメンバーが言った。

「そんなの、どこか宿に泊まれば済む話じゃない。」

「そんな毎晩うまい具合に僕たちの行く道に宿はないし、お金もかかる。僕たちの取り分が減ってもいいのかい?」

「・・・それは嫌だけど。でも私、この女、嫌いだわ。勇者様に色目を使うんだもの。」

「そんなことしたことありません!」

マリーはすぐに否定した。勇者ミハエルも、

「一体、この髪型でどうやってマリーが僕に色目を使うんだい?」

と、言ってからハハハッと軽く笑った。

ビクトリアはあきれ気味に、

「わかったわ。今日はもう休むわ。」

と言って、自分のテントに入って行った。

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