能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
ビビアンは一通り話を聞き終えると、
「あんた、本当にパーティー運がないわよね。」
と言った。
「好きでこうなってるわけじゃないのに。」
「ま、今回も、知らない間に、目を見られてたのかもね。
でないと、その女があんたを敵対視するわけがないもの。」
「いつの間に。かなり気を付けていたのに。」
「ま、でも、こうなった以上しょうがない。次を探さないとね。」
「うん。Cランク認定される前に仕事決めとかないと。」
「たしかに。いまだったらまだBランクの仕事が選べるしね。でもなあ・・・。
時期が悪いわ。」
「やっぱりそうだよね・・・。」
ほとんどのパーティーが春に出発し、冬になる前に討伐を終え帰って来る。
そして、今は秋。秋から出発する討伐などほとんどない。あったとしても、
雪や氷の魔獣などの討伐要請の為、SランクやSSランクの仕事しかない。
この時期にお世話係の仕事、ましてやBランクの仕事などない。
「今仕事は・・・と、」
ビビアンは立ち上がると、壁に貼られている何枚かの募集の紙を眺めてから、募集の紙を一枚ピリッとちぎり取った。
「これしかないと思う。」
と言って、ビビアンがマリーに差し出した募集の紙を見ると、
アイスドラゴン氷山にて氷の花採取
目的:ホワイトブルーの氷竜花の採取
募集:お世話係、男性に限る、ランクB以上
給料:50万イエン
期間:秋出発~2か月
「なに、この好条件?たった2ヶ月で50万イエン?!
でも、男性に限る?お世話係なのに?」
「この募集依頼言ってきた人、貴族っぽくて結構ないい男でね、多分それで女はごめんって
感じなのかも。」
「なんで?貴族でいい男だと女はだめなの?」
「これだから結婚願望のない奴は。いい?わざわざリスクがあるのに、女の人が
冒険者パーティーに加わるのはお金だけじゃないのよ!あわよくば報奨金がっぽりもらってる勇者と結婚したい
と思ってる輩も多いのよ。きっとこの人も、色目使ってくるような女は面倒で、男限定にしたのかも。」
「そっか。まあいずれにしてもこれは無理だね。」
と、マリーが言うと、
ビビアンは壁の時計を見て、
「おっと、急がなきゃ!」
と言うと、マリーの手を取り、カウンターの奥の部屋にマリーを連れ込んだ。