能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!

逃亡


城から出る方法はこうだ。

扉の前には兵士がいるので、扉からは出られない。

窓からの脱出になる。ここが一番危険なポイントだ。落ちたら怪我では済まない。

兵士の巡回の合間を見て、窓づたいに隣部屋のベランダから柱を伝って降りる。

降りてしまえばこっちのもの、後は、怪しまれないよう堂々と歩いて裏門から城外へ出る。


マリーはメグの言ったタイミングで、窓から出ると、わずかな木枠に足を乗せ、慎重にゆっくりと、

隣の部屋のベランダを目指した。3cmほどの木枠に指をかけ、ゆくりと進む。足元にも3cmほどの幅しかなく、

一歩間違えれば滑り落ちる。あと少しで隣のベランダへ足がかかるという所で、マリーの指がしびれ始めた。

あとちょっとなのに・・・

そしてちょうどその時、隣の部屋に誰かが入って来た。

マリーはその人影に驚き、足を掛けそびれた。

ズルッ

しまった・・・

高さ12メートルほどのところから、マリーはそのまま、なすすべもなく落ちた。

一瞬の出来事で、魔法を使う余裕もなかった。

マリーの脳裏に死がよぎった。マリーはぎゅっと目を閉じた。
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