能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
城外

城外に出ると、レオナルドは、

「どこかゆっくり話せるところは・・・。とりあえず、町の方に行くか。」

と、辺りを見回しながら言った。

マリーは、メイド姿だったので、

「いえ、私の格好は目立ってしまうので・・・あ、そこの川辺はどうでしょう?」

と、橋の下の川辺を指さした。

「じゃあ、そうしようか。」

二人は、橋の下の川辺に向かって黙ったまま歩き出した。

川辺に到着すると、二人は、腰を下ろした。

穏やかに川が流れ、きらきらと光が反射して光っていた。

先に沈黙を破ったのはマリーだった。

「まず、嘘をついてごめんなさい。」

と、マリーはレオナルドの方を向いて、深く頭を下げた。

「嘘?」

「はい。男だと嘘をついてました。本当は女なんです。」

「あ、ああ。」

レオナルドの薄い反応にマリーは、

「え?もしかして気づいてたんですか?」

「ん・・・。まあ・・・。」

「い、いつからですか?いつから気付いたんですか?!」

マリーは慌てながら聞いた。

「それは、知らない方がいい。で、マリウス、本当の名前を君の口から教えてくれないか?」

「え、ああ、そうですね。マリーと言います。」

「マリー。」

レオナルドが優しい声で呟いた。マリーはっ申し訳なさそうに、

「あと、もうひとつ謝らなければならないことが・・・。」


と言うと、

「どうぞ。」

と、レオナルドは優しい声で言った。

マリーは一呼吸置いてから、

「実は、私隠れ魔女だったんです。今回、法律が変わって、もう隠れなくてよくなったんですが。」

「ああ。」

と、またレオナルドは驚くことなく返事をした。

「もしかして、魔女ってことも知ってたんですか?」

「ああ。」

「・・・・・。」

マリーは驚きのあまり、声が出なかった。すると、レオナルドが、

「で、どうしてメイドの格好をしているんだい?」

と、マリーに聞いた。

「えっと、それは・・・。」

と、マリーはミハエルに魔法塔に売られそうになったこと。

なぜか目が覚めたら、貴賓室にいたこと、王様にお礼を言われたこと、

王子に見初められ、夜這いの話が出たので、メイドのメグが逃がしてくれたことを話した。

レオナルドは、一通り、話を聞くと、

「それじゃあ、マリーを逃がしたメイドは罰を受けるんじゃないかな?」

と言った。

マリーはハッとした。自分のことしか考えておらず、後のことを考えていなかった。

「メグが罰を受けないようにするにはどうすればいいいんでしょうか。」

マリーはレオナルドに聞いた。レオナルドは立ち上がると、マリーに手を差し伸べ、

「一緒に城に戻ろう。」

と言った。
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