能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!

晩餐

薄ピンクのドレスを身にまとったマリーは、花の妖精のごとく美しく、

晩餐の会場へ向かう通路を歩くと、衛兵の目がマリーを追っていた。

晩餐の会場へ着くと、既に王子が座っていた。

マリーが、

「遅れて申し訳ございません。」

と、頭を下げると、

「なんと、美しい・・・。」

と、言って、王子から感嘆の声が漏れた。

マリーは何も言わず、無言で席に着いた。

すぐに王様が入って来て、厳かに晩餐が始まった。


マリーは、マナーなど全く知らず、どうしていいか分からなかったが、

緊張しながらもちらちらと、王子の食べ方を見て、同じように食べた。

しばらくすると王子が、

「そんなに見つめられると照れるなあ。」

と、マリーに向かって言った。

マリーは、

「いえ、見つめたつもりは・・・。」

と言った。それを聞いた王様が、

「王子の側室に入ることにしたのか?」

とマリーに聞いた。

「いえ・・・。」

マリーはレオナルドの言葉を思い出していた。堂々と断ればいいと。

マリーは勇気を出して顔を上げ、言葉を続けた。

「側室の話はお断りさせてください。」

「なぜ?」

すぐさま、王子から質問された。

「好きな人がいるんです。」

と、マリーは正直に答えた。王子は、

「そんな奴より、僕の方がマリーを幸せに出来るよ。」

と言った。

そんな奴って・・・レオのこと何も知らないくせに!マリーは

王子の言葉に腹が立ち、

「あの!・・・」

と言った瞬間、

「遅れてすいません。」

と言って、男の人が晩餐の席に入って来た。

聞き覚えのある声に、マリーはすぐに声のする方を見た。

そこにいたのは、騎士団の服を身にまとったレオナルドだった。


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