能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!

出発

翌朝

マリーが準備を整え、店の1階に降りてくると、すでにレオが店に来ていた。

レオは、マリーを見ると、

「おはよう、マリウス。もう出られるか?」

と言った。マリーは、もう来ていたことに驚き、戸惑いながら、

「お、おはようございます。レオ様。出発できます。」

と、答えた。その様子を見ていたビビアンが、

「おはよう。マリウス。出発するのね。」

と言って、マリーに駆け寄ると、マリーのおでこに自分のおでこを軽く当て、
両手を握った。

「無事に戻って来られますように・・・。」

これは、本来思い合う者同士がする儀式である。
マリーは早くに親が他界し、この店でお世話になりながら、小さいうちからずっと冒険者で身を立てて来た。
ビビアンはマリーと年はあまり変わらないが、姉妹のように思っており、旅立つ前には必ずこの儀式をする。
レオナルドはその様子を静かに見守っていた。

「では、いってきます。」

とマリーがビビアンに向かって言った。ビビアンも、

「いってらっしゃい。旦那もどうかご無事で。」

と言った。

「ありがとう。世話になった。」

と言って、レオナルドは店の扉を開け、歩き出した。
朝日が逆光となり、レオナルドの大きくしっかりとした体格が、
神々しく見えた。
マリーはパタパタとその後について行った。

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