能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
10分ほど歩いたところで、

「マリウス。」

と、レオナルドが声をかけた。

「はい、何でしょう。レオ様。」

「なぜ、横を歩かない?」

「お、お世話係は隊列の一番後ろを歩く決まりになってまして。」

と、答えると、

「二人だけなのに隊列も何もないだろう。横を歩いてくれ。」

「いえ、そんなとんでもない!」

レオナルドは、マリウスの頑な態度に、

「これから2か月の間は、俺が貴族であることは忘れてくれ。対等に接してほしい。」

「でも・・・。」

マリウスが返答に困っていると、レオナルドが、

「分かった。じゃあ、これは命令だ。横を歩け。それから俺に敬語は無しだ。」

「分かりました。レオ様。」

「様はいらない。」

「分かりました…レオ。」

と、マリウスは頬を赤らめながら、恥ずかしそうに言った。

それを見て、レオナルドはにこりとし、マリウスの腕を掴むとグイっと自分の横に引っ張った。

「さ、横を歩くんだ。」

レオナルドが笑顔で言った。
こんなきれいな顔立ちの男性の笑顔の破壊力。
さらに腕を掴まれたことにより、マリーの心拍数がいまだかつてないほど急激に上がった。

「・・・はい。」

マリーは自分の鼓動の早さに戸惑い、俯きながら、言われるがままレオナルドの横を歩いた。

マリーの心拍数が正常範囲内に落ち着いて来たころ、レオナルドがマリウスに質問した。

「さっきの店の女性はマリウスの恋人かい?」

「え?なんで?違います!幼馴染です。僕は両親がいないので、彼女が家族みたいな感じで。」

「そうだったのか。すまない。変なことを聞いて。」

「いえ、そんなことは・・・。」

レオナルドは、何でそんなことを聞いたのだろう、と聞いてしまってから後悔した。
なぜ、マリウスが気になるのか。握手した時の滑らかな肌。腕を掴んだ時の細さ。まるで女性のようだ。
いやいや、マリウスは少年じゃないか。全く俺はどうかしている・・・。

と、レオナルドは一人苦笑いをした。

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