能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
昼休憩を軽く取っただけで、今日はずっと歩き通しだった。

昼は、店が持たせてくれたチキンサンドを食べただけだった。

だんだんと日が傾いて来たころ、

「今日はここで野営しよう。」

と、レオナルドが言った。

「はい。では、夕飯の準備をします。」

と言って、マリーはリュックを肩から降ろすと、ごそごそとリュックの中から地図を取り出し開いた。

地図を開き、現在地を確認し、水辺や食料になりそうなものが近くにないか確認する。
マリーが地図を見ていると、マリーの後ろからレオナルドが地図を覗き込んだ。

うう、顔が近い・・・。

マリーの鼓動が早くなり、地図を持っている手が震えそうになる。
そんなことはおかまいなしに、至近距離で、レオナルドが質問する。

「この地図、俺が持っている地図とは違うなあ。」

「は、はい。これは、お世話係専用の地図で。水辺や食料になりそうな、例えばきのこの群生地や
木の実や野生の果物の場所、川ならどんな魚が取れるかなどが記されています。」

緊張でマリーは早口になる。

「俺のとは違うな。」

「はい。冒険者用の地図は、基本的に冒険者協会と魔物や魔獣などの出没注意場所が記されているだけですから。」

「確かに。」

「貴族向けの地図は、冒険者協会と高級な宿泊所やお店、レストランなどが記されています。」

「魔獣や魔物の出没場所は?」

「載ってませんね。基本お貴族様のパーティーは護衛付きで大人数ですから先導者は別に
いるはずですよ。」

「なるほど。」

早く離れてほしい・・・心臓が持たない・・・。
マリーは耐えきれなくなり、

「あ、あの、食事の準備をしてまいります!」

と言って、レオナルドの傍から離れた。

マリーは大急ぎで鍋を取り出すと、その場から駆け出し、地図で見た水辺に急いだ。

マリーは鍋に水を汲みながら、

近い・・・距離が近すぎる・・・。
あの美しい顔の破壊力・・・。
危険だ、このままバレないでいけるだろうか・・・。

と、悩み始めた。

とにかく、少し距離を取ろう。うん、それしかない。
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