能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
食事が終わると、今度は片づけだ。
いつも通りマリーは空になった鍋に器を入れ、鍋と食器を洗いに行こうと鍋を持ち上げた。
すると、レオナルドが、マリーが持っていた鍋をすっと横から取り上げた。
「え?レオ様?何を?」
「レオでいい。」
「あ、あのレオ・・・。」
「もう暗いから一緒に行こう。」
こんなことを言われたのもされたのも初めてだ。どんなに暗くてもいつも一人で
川まで洗いに行っていた。
「あ、あの、一緒に行ってくださるのはありがたいのですが、さすがにわ、ぼ、僕の仕事ですので。」
と言いながら、マリーは鍋を奪い返そうと手を伸ばしたが、レオナルドはその手を掴み、
マリーと手を繋いだまま、すたすたと歩き出してしまった。
「あ、あの、レオ??」
マリーは困惑しながらレオナルドに呼びかけた。レオナルドは歩くスピードを緩めることなく、
「その前髪じゃ、何も見えないだろう。」
と言った。
「いえ、この前髪だからこそ見えるんです。私の目は、光に弱く、前髪でカバーすることによって、
ちょうどよく見えるようになるんです。」
これは、今までずっと目を見せないようにするためにマリーが使ってきた言い訳だ。
この理由で今までのパーティーの人間達も納得させてきた。
「でも、今はもう真っ暗だ。」
と言って、レオナルドは繋いでいる手の力を緩めることはない。
「それはそうなんですけど・・・。でも。」
「洗うのは任せるから。」
「・・・はい。」
最終的にレオナルドの言われるままに、マリーは手を引かれて、水辺まで行った。