能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
10日後の朝 

 
2人が朝食を食べ終わると、レオナルドがおもむろに地図を開いた。
地図を見ながら、マリーに、

「マリウス、悪いんだが、近道をしたい。」

「と、言いますと?」

「本来なら、冒険者はこちらの道を通るんだが・・・。」

地図の上を人差し指で道をなぞるようにした。

「はい。こちらの方が道が開けて安全なコースですから。」

「ああ。でも、早く目的地に着きたいので、こっちの道を進みたい。」

と、言って、指でなぞったコースを見ると、山を突っ切るコースだった。
山賊が出たり、魔物が出たりするコースだ。

「本気ですか?」

と、マリーはレオナルドに聞いた。

「もちろん、本気だよ。マリウスのことは命に代えても必ず守る。だから、このコースで行きたい。」

と、言い、レオナルドはマリーに頭を下げた。

「あの、とにかく頭をあげてくださいっ!」

と、マリーはレオナルドに言った。

正直なところ、マリーにとっては何の問題もなかった。なぜなら、いざとなったら魔法を使えばいいだけ
だから。問題があるとすれば魔法を使う所を見せられない点だ。
魔女だとバレたら即人生終了だ。

マリーが迷っていると、地図の上に温泉のマークが見えた。このコースには自然の温泉があった。

冒険に出ると、なかなか風呂に入れない。それに今の季節では水浴びもできない。
冒険者協会の温泉だと女性だとバレてしまうため入れない。
今のマリーにとって自然の中の温泉はとても魅力的に見えた。

「わかりました。」

マリーが返事をすると、レオは安堵の表情を浮かべた。

「ありがとう。感謝する。」

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