能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
「マリウス、今日はここに泊まって、明日の朝出発だ。」

「はい。」

「こっちだ。」

と言われ、レオナルドについて行く。
隣の建物に繋がる通路を通って行く。
通路を抜けると、ソファや長椅子が置かれており、一瞬で先程の建物とは明らかに雰囲気が変わった。
まさにホテルのロビーといった感じだった。

1階のフロントでチェックインの手続きをし、鍵を2つもらった。
1つは部屋の鍵。もうひとつは、個室のフロアに入るための鍵だった。
この鍵があることで、大部屋の客と個室の客を分断しているのだ。
大部屋の客は個室フロアに入ることが出来ない仕組みである。
大部屋の客が個室の客の金品を盗まないとも限らない。事が起こる前の対策だ。
個室の宿泊料金は、大部屋の宿泊料金の3倍であるため、ランクがAクラスまでの冒険者の
ほとんどが大部屋に泊まる。また、基本前払い制で、泊ってから不払いで逃げられるのを
阻止するためだ。

マリーはてっきり大部屋だと思っていたので驚いた。
今までのパーティーで個室に泊まるなんてことはなかったからだ。

やはり50万イエンを払えるだけのことはある・・・。

レオナルドの後ろを歩きながらそう考えていると、部屋に到着した。

部屋はそんなに大きくはなく、どちらかというと狭い方で、
ベッドが2台だけ置かれている部屋だった。そしてそのベッドとベッドの距離に
驚いた。人が一人通れるか通れないかくらいしか空いていない。

ベッドが近い・・・。しかも部屋が狭く隠れて着替える場所がない。

マリーは同じ部屋とういうことと、その広さに一瞬戸惑った。

「今日は満室らしくて、たまたまキャンセルが出てこの部屋が取れたんだ。」

「・・・。」

「マリウス、どうかしたか?」

「あ、いえ。ずっと野営だったので宿に泊まるの久しぶりだなあと思って。ははは。」

「ここは、風呂もあるらしいぞ。夕飯を食べたらあとで一緒に行こう。」

と、レオナルドが笑顔で言った。

え?お風呂??まずい!!どうしよう・・・。
マリーは全身から汗が噴き出そうなくらい、焦った。

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