能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
レオナルドは個室の部屋の前の壁に、両腕を組みもたれていた。
どうしたんだ、俺は・・・。
別の男に組み敷かれるマリウスを見た瞬間、頭に血が上り、気が付いたら男を
投げていた。
力加減を一歩間違えたら、あやうく殺してしまうところだった。
マリウスの頬に流れる涙を見た瞬間、気持ちが抑えられなくなり、
思わず抱き寄せてしまった・・・。
もう絶対に一人にさせたりしない。
小刻みに震える肩を抱きしめていると愛おしさが止まらなかった。
マリウスに変に思われなかっただろうか・・・。
そう考えていると、
キキィー
と、扉がそっと開いた。
ひょこっとマリウスが顔を出した。
「あの、お湯、ありがとうございました。」
「あ、ああ。」
「終わりましたので、お入りいただいて大丈夫です。」
「ああ。」
2人は明日の準備をすると、すぐにベッドに入った。
レオの口数が少ない。あんな目に遭った私を気遣ってくれているのだろうか。
こちらから話した方がいいのだろうか・・・。
「マリウス・・・。まだ起きてるか?」
「はい。起きてます。」
「あの、その、なんだ、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。助けていただいて本当にありがとうございました。」
「いや、その、本当に怖い思いをさせて申し訳なかった。その、それで、何かされたりは・・・。」
レオナルドが気まずそうに聞く。
「キスされそうになりましたが、レオのおかげで事なきを得ました。」
「よかった・・・。本当に。いや、良くはないか・・・。」
言葉を慎重に選びながら話すレオナルドにマリーは少し嬉しくなった。
「じゃ、明日も早いからゆっくり休んでくれ。」
「はい。おやすみなさい。」
「おやすみ。」