能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!

山賊


翌朝

店主はレオナルドとマリーに平謝りで、宿代を返金してくれた上に、
お昼も持たせてくれた。

2人は宿で朝食を取り終えると、店主に礼を言い、すぐに出発した。


危険なコースと言われていたが、天気もよく、道も開けており、
山賊が出そうな雰囲気は微塵も感じられなかった。
2人はどんどん進んで行った。

昼になり、二人は切り株に腰を掛け、軽く昼食を取った。
宿が、昨日の夜の酔っ払い騒ぎのお詫びにと、ドライフルーツと木の実の入った
パンを持たせてくれた。2人は、パンを頬張りながら、

「美味しいですね。」

と、マリウスが言うと、

「うん、うまいな。」

と、レオナルドが答えた。

すると、突然、3人の無精ひげの男たちが現れた。
手には各々長い剣や斧、鎌を持っていた。

「おい、命が惜しければ荷物を置いて今すぐ立ち去れ!」

出た、山賊・・・。

と、マリーは思い、すぐにリュックに食べかけのパンを突っ込むと、
リュックを背負い、逃げる体制を整えた。

「おいおい、兄ちゃん、逃げられるなんて思うなよ。」

マリーの行動を見て、山賊の一人が言った。

いや、逃げられるんです。目くらましの魔法を使えば・・・。
ただ、その時は、レオに先に逃げてもらい、レオに見られないように、
私が後ろで魔法を使うことが出来ればだけど・・・。

さて、どうしたものか・・・。

と思いながら、レオナルドの方を見ると、もぐもぐと山賊には動じずに
パンを食べている。

え???

マリーは驚いた。今の状況、理解してます???

「おいっ!聞こえなかったのかっ?」

「殺されたいのか?」

山賊達が苛立ち始めた。

レオナルドはちょうどパンを食べ終え、落ち着いた声で、

「お前たちに俺は殺せないよ。」

と言ってから、パンパンっと手に付いた粉を払いながら立ち上がった。

山賊は、レオナルドが立ち上がった際に服を着ていても分かる屈強な体格と、
腰の横にある剣を見て一瞬怯んだ。
レオナルドは、マリウスに、

「下がってろ。」

と言ってから、ずんずんと何の躊躇もなく、山賊たちの前に出た。

山賊のリーダーらしき男が、

「やっちまえ!!」

と言うと、

「おっー!!」
「わあー!!」

と言いながら、3人が束になって、各々剣、斧、鎌を振り上げレオナルドに襲い掛かった。

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