能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
しばらくして、息が整ってきたころ、ザックが、

「とりあえず近くの村に行きましょう。」

と、言いながら体を起こした。

同じくビクトリアも、

「私も早くちゃんとした所で休みたいわ。」

と言って、ゆっくりと起き上がった。

「その方が良さそうだな。」

と、最後に勇者ミハエルが立ち上がった。

3人はボロボロになりながらも、足を引きずりながら、何とか歩き出した。


小一時間ほど歩いた所で、やっと近くの村に辿り着いた。

とにかくどこかに座りたい。

そんな思いで、3人は、村に入ってすぐの食事処に飛び込んだ。

「はい、いらっしゃ~い!」

店員が元気に声を掛ける。3人の姿を見て店員が、

「あれ?お客さん、もしかして冒険者パーティーです?」

と、聞いてきた。魔物を討伐出来なかったことに恥ずかしさがありながりも、

「ああ。」

と、俯きながら勇者ミハエルが返事をした。

「ご苦労さま。私たちが安心して生活出来てるのは、冒険者パーティーの方々のおかげだから、この村では、冒険者パーティーの方々にはサービスするように決まってるんですよ。ほら、他のパーティーの方々も沢山いるでしょ。ぜひ、ゆっくりしていってください。」

と、店員は奥のスペース案内しながら笑顔で話した。
案内された奥のスペースには、既に3組ほどあきらかに冒険者パーティーと分かるグループが、テーブルを囲んでいた。
いかにも屈強そうな男性ばかりのパーティ、魔力主体の男女の寄せ集めのパーティ、いかにも冒険者初心者の若いパーティ。
日が高いうちから、各々、楽しそうに食事をしながら酒を飲んでいた。
勇者ミハエルたちは、やっと椅子に座ることが出来た。

「はあ~。」

各々声が漏れる。

「とりあえずビールを3つ。あと、適当に食事も頼む。」

と、勇者ミハエルが店員に言った。

「は~い!」

と、うれしそうに店員が答えた。ボロボロの状態でも、男前は男前。他の女性店員も、ちらちらと勇者ミハエルに視線を送る。
< 33 / 107 >

この作品をシェア

pagetop