能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
果実
日が暮れかかったころ、マリーとレオナルドは今日の予定していた野営地に着いた。
再び山賊に襲われない様、道を外れた森の中を選んだ。
マリーは地図を広げながら、
「あ、近くに果実が成る木もあるみたいですね。明るいうちにちょっと行ってきます。」
と言った。すぐにレオナルドも
「一緒に行こう。」
と言って、マリーについて来た。
5分ほど歩くとすぐに地図が示す果実の成る場所に着いた。
生い茂った木々に、たくさんの赤や紫色の美味しそうな果実がぶら下がっていた。
マリーはうれしくなり駆け出すと、そのまま助走をつけて、
果実目がけてジャンプした。
ブン!
マリーが伸ばした手は大きく空振りした。
「はははっ!」
と、その様子を見ていたレオナルドが笑い出した。
マリーは、真っ赤になりながら
「レオ、失礼ですよ。」
と、言って、ぷいっと顔を背けると、手が届きそうな木を探し始めた。
すると、突然ふわっと体が浮いた。
レオナルドはマリーの後ろから両腰をつかむと、そのままマリーを軽々と持ち上げたのだ。
「ひゃっ!」
マリーは驚いて、変な声が出た。
「大丈夫。落とさないから安心して選んで。」
「・・・はい。」
と答えると、マリーも果実のように赤くなりながら、熟れた果実を2つ選び、もぎり採った。