能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!

温泉

深夜


ふくろうと虫の鳴き声が鳴り響く中、マリーは細心の注意を払い、レオナルドのテントの方を警戒しながら、こっそりとテントを抜け出した。

そして、温泉に向かって一人歩き出した。


レオナルドは深夜の物音に気づき、テントの隙間からそっと覗くと、マリーが一人でテントを
抜け出す姿が見えた。

マリウス?こんな夜更けに一人でどこへ行くんだ?

と思い、レオナルドはマリウスの後を気づかれないようにそっと付けた。

レオナルドのこの行動は純粋にマリウスを心配していたからだ。あんなことがあった後だし、山賊や魔物の出る危険な山だからだ。

マリウスに気づかれないよう、後をついて行くと、到着したのは、
自然温泉が湧き出る場所だった。

なんだ、マリウスは温泉に入りたかったのか。

ということが分かると、レオナルドは、そのままマリウスに気づかれない場所で勝手に
護衛することにした。
山賊や魔物が出たら、助けに入ればいい。

マリーは温泉に手を入れる。

「いい湯加減!」

レオナルドに見られていることもつゆ知らず、マリーはうきうきと服を脱ぎ始めた。

パサっ

結んでいた髪をほどき、脱いだ服をそのまま畳まずに地面に置く。

もう温泉に入りたくて入りたくて仕方がなかったからだ。

マリウスの後ろ姿に、

まだまだ子供だな・・・。

と、レオナルドが思った瞬間、

マリーが胸に巻いたさらしを外し始めた。

あっ、そうだ、マリウスはたしか傷があったんだ。それで人目につかない
こんな夜更けに温泉に・・・。

レオナルドは、傷のことを思い出すと、見てはいけないと思い、
覗くのをやめた。

すると、次の瞬間、

ザッバーン!

と大きな音がした。

レオナルドは、びっくりして思わず再び温泉の方を見た。

温泉は静まり返り、誰もいなかった。

え?マリウス?

と見ていると、次の瞬間、

突然、ザバッと、湯気が立つ水面から、美しい女性が顔を出した。
美しく整った顔立ちに魅惑的な薄紫色の瞳の女性が現れた。
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