能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
魔獣
マリーは、いつどこから魔獣が襲ってくるか分からない緊張感で、
びくびくしながらレオナルドの後ろを歩いていた。
すると、一時間ほど歩いたところで早速、魔獣が現れた。
黒々とした毛が全身を覆っており、巨大な豚のような風貌で、両耳の横から太い角が1本ずつ生えていた。
マリーは、腰が抜けそうになった。
今までのパーティーでも遭遇したことのない大きさだったからだ。
「レオ、逃げましょう!」
マリーは、レオナルドの袖を軽く掴み震えながら言う。
しかし、レオナルドは、マリーの言葉には耳を貸さず、
それどころか、
「俺の後ろに。」
と言って、剣を抜いて構えた。
うそでしょー!!こんな大きさ、勝てっこないよー!!
しかし、マリー一人で逃げ出すわけにもいかず、レオナルドの言うまま、
マリーはレオナルドの後ろに隠れた。
マリーの魔法は、魔獣や魔物をやっつけるような攻撃性の高いものは持ち合わせていなかった。
しかし、前のパーティーで、ビクトリアのシールドを見様見真似で試してみたら、見事に習得することが
出来た。同じくザックの火球も習得した。おまけに、二人より威力も高く、シールドも範囲が広く強固な
ものに。火球についてもザックの火球より威力が高い上に早かった。
パーティーに入るまでのマリーの魔法はせいぜい生活に特化したものしかなかった。
温風を出すとか火を起こす、氷を作るなどだ。
瞬間移動も自分の部屋に戻るくらいで、行ったことのない場所には瞬間移動は使えない。
物を浮かしたりも出来るが、せいぜい人間一人くらいが限度だ。
国の保護下に入れば、もっといろいろな魔法を学べたが、魔女であることを隠して生活している以上、この程度の
魔法で精一杯なのだ。
しかしレオの前で魔法は使えない。バレないよう何とかこっそりシールドを貼ることが出来れば・・・。
と考えながらマリーが身を屈め、警戒していると、ふっと、レオナルドの姿が
目の前から消えた。
え??
次の瞬間、レオナルドの剣が、魔獣の頭を叩き割っていた。
うそでしょー!!!
マリーは呆気に取られた。
山賊の撃退を目の当たりにし、強い強いとは思っていたが、まさかここまで強いとは・・・。
Sランク、いやSSランクレベル以上だ。
レオナルドは、剣に着いた血をブンっと振って落とすと、ゆっくりと鞘に戻した。
そして、マリウスの方を振り返って、
「さ、進もう。」
と、何事もなかったかのように、言った。
こんなに強くて優しくて、この人は一体何者??
「は、はいっ!」
と、言って、マリーはレオナルドの後を追いかけた。