能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
また小一時間進んだあたりで、再び魔獣に遭遇した。
地図に書いてある通り、魔獣出没ポイントだった。

今度は一匹ではなく、群れだった。10匹いや20匹はいるだろう。

狼のような風貌で一角獣のように頭に長い角がある。

舌をべろりと出し涎を垂らしていて、今にも二人を食わんと襲い掛かる勢いだった。

二人はあっという間に、この魔獣の群れに取り囲まれた。

レオナルドはゆっくりと剣を引き抜いて構えた。

いくらレオでも、さすがにこんな群れに取り囲まれたら今度は無理でしょう・・・。

と、マリーは思った。しかし、レオナルドは相変わらず落ち着いていた。

「どどど、どうしましょう?!」

と、マリーが慌てふためきながら言うと、レオナルドは落ち着いた口調で、

「大丈夫。」

と、一言だけ言った。

そして次の瞬間、また、マリーの目の前からレオナルドが消えたかと思うと、

ザシュッザシュッザシュッ

と、鈍い音が連発した。ものすごいスピードで一気にレオナルドが魔獣の群れに切りかかったのだ。

すると、魔獣たちが10匹ほど、バタバタとその場に倒れ出した。

それを見た残りの魔獣は、その場から一斉に逃げ出した。

そしてまた、先程と同じように、レオナルドは剣に着いた血を払うと、
ゆっくりと鞘に剣を閉まった。そしてまた何事もなかったかのように、

「さ、行こうか。」

と、マリーに言った。

「あの、すごくお強いのですが、レオはSSランクですか?」

「まあ、そんなもんかな。」

マリーは疑問をぶつけた。

「なら、どうしてぼくなんかと・・・。SSランクの冒険者なら、魔女の斡旋も可能
なんじゃ。」

マリウスは何も答えず軽く微笑むと再び歩き出した。

「あっ、ちょっと待ってくださいよ~!」

と、言いながらマリーはパタパタとレオナルドを追いかける。

その様子を林の中から覗き見ている鋭く光る2つの目があった。
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