能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
レオナルドは、落ち着いた様子で、テントの壊され方、足跡などを確認すると、
「人間の仕業だな・・・。」
と呟いた。そして続けて、マリウスに向かって、
「盗られた物がないか確認してくれ。」
と言った。
マリーはレオナルドの声にハッと我に返り、
「はいっ!」
と言って、壊されたテントの周りに自分のリュックがないか探し始めた。
ビリビリに破れたテントをめくると、明らかに中を荒らされたマリーのリュックが落ちていた。
マリーは急いでリュックの中身を確認する。
ビクトリアにもらったお金の入った小袋がなくなっていた。
「あ、お金がなくなってます・・・。」
「そうか・・・。他に盗られたものは?」
レオナルドが優しい口調で聞く。
「干し肉が・・・。スパイスは盗られてません。」
「そうか。明日には氷山入り口の冒険者協会に着くから、食料は気にしなくていい。
盗られた分の金も俺が出そう。」
「いえ!そんな!これはぼくの不注意ですので!そこまでしていただくわけには!」
「いや、俺の管理不足だ。とりあえず必要な物は俺が支払うので、明日冒険者協会で調達しよう。」
「・・・助かります。」
「おそらくあの山賊たちの仕業だろう…。くそっ!こんなことなら、全員の両腕両足を
折っておくべきだった。」
「・・・・。」
珍しくレオナルドの怒った様子に、マリーは思わず黙り込んだ。
しかも両腕両足を折るなんて・・・。レオなら本当に出来てしまうだけに恐ろしくなった。
レオナルドは普段はあまり怒ることはなかったが、今回はマリウスに悲しい顔をさせた山賊が
許せず、思わず言葉が荒くなってしまった。
「大丈夫か?」
レオナルドが優しい声でマリーに近づき声をかけたが、マリーは先ほどのレオナルドの言葉に、
思わず体が拒否反応を示し、ビクッと、後ずさりした。
「すまない・・・。さっきは感情的になってしまった。山賊をみつけてもそんなことはしないから・・・。」
と、レオナルドはマリーに申し訳なさそうに言った。