能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
俯いていたマリーだったが、気を取り直し、

自分の仕事をしなければ・・・。

と、顔を上げた。

「干し肉は盗られちゃったので、代わりになる具材を探してきます。」

と、マリーは言うと、先程の道に入って行った。

レオナルドは何も言わず、マリーの後をゆっくりと付いて行った。

すぐにきのこが見つかったので、マリーは慣れた手つきで必要な分だけ摘み取ると、

来た道を戻って行った。


薪を集め、火を起こす。

幸い、鍋も食器も壊されておらず、マリーはほっとした。

鍋に水と先ほど摘み取ったきのこを入れ、体が温まるスパイスを入れ煮込む。

マリーが味見をすると、普通のきのこのスープが格段に美味しくなっていた。

マリーは食器にスープを入れ、レオナルドに差し出した。

「どうぞ。」

「ありがとう。いただきます。」

レオナルドはスープを受け取ると、スプーンですくい、一口飲んだ。

「うん、うまい!」

レオナルドの言葉を聞いて、マリーは笑顔になった。

「よかったです。」

「今晩は冷えるだろうから、これなら体も温まりそうだ。」

と、レオナルドは言った。

「ぼくのせいで本当に申し訳ありませんでした。」

「マリウスは悪くない。悪いのは盗賊だ。気にするな。」

「・・・はい。」

「それより、今後は勝手な行動は慎むように。」

「・・・はい。」

「盗賊もそうだが、まだ魔物や魔獣がいるかもしれない。俺の傍を離れるな。」

「・・・はい。」

「今晩は、俺のテントで一緒に寝るぞ。」

「・・・はい・・・ええっ?」

マリーは流れで返事をしていた矢先、突然のレオナルドの言葉に驚いた。

「もうすぐ氷山のある村に着く。ここも雪がないだけで、夜はかなり冷えるからな。」

「これ以上迷惑はかけられません!あ、そうだ!火の番をするので大丈夫です!」

「何を言ってる。結界を張って寝るから火の番なんて必要ないだろう。」

そう、レオナルドはSSランク以上の実力があり、人間には通用しないが、結界を張ることが出来る。

魔物や魔獣といった類には、結界を張ることにより、その存在を見えなくする効力がある。

「・・・はい。」

「今晩は俺のテントで一緒に寝るぞ。」

「・・・はい。」

マリーは断り切れなかった。


同じテントで寝るなんて・・・。
ただでさえ一人用のテントは狭いのに、そこに二人で寝るのはかなり狭い。
否応なしに距離が近くなる。どうしよう・・・。もし女だってバレたら・・・

マリーの顔が青ざめた。


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