能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!
レオナルドはマリーのブーツと靴下を脱がし終えると、そのまま、後ろからマリーを抱きしめ、軽々と持ち上げると、
ぐいっと寝袋に引き入れた。

「え???」

マリーは一瞬の出来事に驚き、思わず声が出た。

「嫌だと思うが今晩だけ我慢してくれ。凍え死にたくないだろう?」

と、レオナルドが冷静に言う。しかし、実際のところレオナルド自身も緊張していた。

「…はい。」

と、マリーは言った。

マリーとレオナルドは横向きで同じ方向に並んで寝た。
マリーの背中に感じるレオナルドの厚く逞しい胸板は、温かく、マリーの背中に触れている部分から
じわじわと熱を帯びて来た。
レオナルドの左腕がマリーの頭の下にあり、ちょうど腕枕のような状態になった。
レオナルドの目には、マリーの真っ赤になった耳と首筋が愛おしく映った。
その赤く染まったマリウスの耳と首筋に唇を這わせたい衝動に駆られたが、ぐっとこらえ、ガチガチに固まったマリウスの緊張をどうやって解こうかと考えを巡らせた。

「細いな・・・。」

と、レオナルドが呟いた。

「・・・」

 しまった、女だとバレた?!

マリーは焦った。

「明日、氷山入り口の冒険者協会に着いたら、肉をいっぱい食べさせてやる。」

と、レオナルドが言った。レオナルドの言葉にマリーは安堵した。

 よかった、バレてない。


レオナルドは、マリーの頭を大きな手でゆっくりと優しく撫で始めた。そして、優しい声で、

「大丈夫。安心してゆっくり休め。」

と、マリウスの耳元で囁いた。レオナルドの息を耳に感じ、マリーの身体はますます紅潮した。

しかし、マリーは、ハッとした。

そうだ!私はレオにとっては男で子供だ。変に警戒すると失礼だわ。子供らしくしなくちゃ!

そう思い直したマリーは、レオナルドの優しく頭に触れる大きな手に安堵し、徐々に全身の緊張が解け、
レオナルドに身体を預けた。
そして、いつの間にかすやすやと寝息をたてていた。

マリウスの寝息に気づき、レオナルドは、ホッとした。

レオナルドは、マリウスが眠ったのを確認すると、ゆっくりと慎重にマリウスを仰向けに寝かせた。

そして、マリウスの目を覆っている前髪をそっとかき分けた。

露わになったマリウスの顔は、眠っていても美しいと分かる。
白い陶器のような肌、長いまつ毛、桜色の頬にバラ色の唇・・・。
レオナルドはそっと、指でマリウスの唇に触れた。
そしてしばらくマリウスを見つめた後、レオナルドは、マリウスのおでこにそっと口づけをすると、
そのまま優しくマリウスを抱きしめ、眠りについた。
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