能ある魔女は目を隠す?!二つの秘密を抱えたお世話係は知らない間に王子に溺愛されてました!

特別室

特別室

二人が食事を終えると、特別室に案内された。

「わあ~!」

マリーは思わず声が漏れた。

部屋の壁はグリーンを基調としたきれいな花柄の壁紙で覆われており、布張りの長椅子、テーブルにも
美しい模様がサイドに彫られており、部屋中いかにも高そうな調度品で揃えられていた。
そして今まで見たことのないベッドの大きさ。マリーが部屋の内装に見惚れていると、

「俺は、支配人と話があるから、少しここで待っていてくれ。」

と、レオナルドがマリーに言った。

「はい。」

と、マリーは答え、レオナルドが下に降りて行ったのを確認すると、
マリーはにやりとしてから、両手を広げ思いっきりベッドにダイブした。


ぼわあん

今まで感じたことのない感触にマリーは嬉しくなった。

「なにこれ!!」

マリーはさらに嬉しくなり、急いでブーツを脱ぎ棄てると、
ベッドの上でぴょんぴょんと跳び跳ね始めた。

「なにこれ!楽しすぎる!!」

マリーはふわりと体が浮く感覚が病みつきになり、ぴょんぴょんとベッドの上を跳び続けた。

「ふふ・・・ふふふ。」

と、笑いが込み上げる。

ぴょんぴょんぴょん・・・。跳ぶたびにマリーの前髪も浮き上がり、マリーの美しい瞳が
キラキラと輝いていた。

マリーが我を忘れ、跳び続けていると、マリーの視界の端に、扉に腕を組んでもたれかかっている
レオナルドと目が合った

「えっ?!」

目を見られた?!マリーは動揺し、跳んだ瞬間バランスを崩した。

「きゃっ!!」

マリーはそのまま空中でバランスを崩しベッドから落ちそうになった。

床に激突する!!

そう思った次の瞬間、レオナルドがマリーを抱きしめるように受け止めた。

マリーはレオナルドのおかげで間一髪、床に激突することを免れた。

マリーの身体に痛みはなく、恐る恐るゆっくりと眼を開けると、

なに・・・この状況・・・

マリーの鼓動が急速に加速する。

マリーはレオナルドの腕の中にいたのだ。
レオナルドの逞しい腕と胸に、小さなマリーの身体はすっぽりと包まれている。

沈まれ!心臓!!

マリーはそう願いながらレオナルドの腕の中で、恐る恐る顔を上げると、

「楽しかったかい?」

と、レオナルドは笑顔でマリーに言った。

マリーは恥ずかしさと緊張で赤くなり、すぐにうつむいた。

「恥ずかしがらなくていいよ。子供は、はしゃぐものだ。」

と、クスリと笑いながらレオナルドが言った。

いえ、私子供じゃないんです・・・。

と思いながら、マリーは

「ごめんなさい。助けていただいてありがとうございます・・・。」

と言ってから、慌ててレオナルドの腕の中から出た。

「いや、俺の不注意だ。声をかけるべきだった。申し訳ない。」

「どうして声をかけてくれなかったんですか?」

「マリウスがとても楽しそうにしてたから・・・。」

「え?いつから見てたんですか?」

「いつだろう。俺が見た時には跳びはねながら笑ってたよ。」


ああ、穴があったら入りたい。恥ずかしすぎる・・・

マリーはさらに赤くなり、俯いた。そんなマリーに、気分を変えるようにレオナルドは、

「明日からの氷山に備えて、いろいろと買い足したいんだ。隣の店で氷山の装備
が売っているらしいから、今から一緒に見に行こう。」

と、言った。

「はい。」

マリーはそう返事をすると、いそいそとブーツを履き始めた。

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